馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はワールドエースが勝った2014年の読売マイラーズCを取り上げる。

弟にワールドプレミアなどがいる良血馬が驚きのレコードV。今年引退したドイツのシュタルケ騎手のJRA重賞初制覇でもあった。

 初めて体験するマイルの流れに戸惑うことはない。ワールドエースはインの4番手で脚をためて直線に入った。手綱越しに伝わってくる抜群の感触。シュタルケは進路を外へとった。ラスト1ハロンで先行勢をとらえると、迫ってきた1番人気のフィエロを退け、1馬身1/4差をつけてのフィニッシュだ。時計は従来の記録を0秒4上回る1分31秒4のレコード。2年前の春、日本ダービーで1番人気を集めてクラシック戦線を沸かせたディープインパクト産駒は衝撃的な時計を刻み、2年1か月ぶりの勝利をつかんだ。

 完璧なレースで、自身のJRA重賞初Vを決めたシュタルケは笑顔で振り返った。「距離は少し心配だったけど、いいスタートを切り、いい位置で運べたのが勝因。この馬の母系はドイツだからね。

勝てて良かった」。母マンデラは03年の独オークスの3着馬。母国とつながりの深いパートナーの復活を素直に喜んだ。

 一昨年、秋への準備に入る前に左前脚の屈けん炎を発症。1年8か月の長期離脱を余儀なくされた。前走の白富士S(5着)で復帰したが、その後にフレグモーネ(急性の化膿性疾患)にかかり、今回が3か月ぶりの実戦。順調ではないなかでつかんだ、12年きさらぎ賞以来の重賞2勝目に、池江調教師は驚きを隠さない。「十分に乗れていなかったし、正直出来はよくなかった。体も太かった(前走比16キロ増)しね。さすがだな」

 ゴール後には向正面で鞍上を振り落とし、厩舎の先輩オルフェーヴルをほうふつさせるシーンも見せた。次走は優先出走権をつかんだ安田記念。「簡単にはいかないと思うが、次はグンと良くなると思うからね」とトレーナーは厚い期待を寄せたが、不良馬場で伸び切れずに5着。

その後も国内外で現役生活を続けたが、G1制覇はかなわないまま、2015年12月のチャレンジC(4着)を最後に種牡馬入りした。産駒には2024年の富士Sを勝ったジュンブロッサムなどがいるが、2023年に種牡馬を引退し、現在は北海道苫小牧市のノーザンホースパークで余生を過ごしている。

 また、鞍上のシュタルケは今年1月に日本での短期免許取得がかなわなかったこともあり、現役引退を表明。母国のドイツでリーディングを10回獲得しただけではなく、2011年にはデインドリームで凱旋門賞を制覇。日本でもG1初制覇となった昨年のカムニャックでのオークスなど重賞6勝を挙げ、世界各地で穏やかな人柄が愛された。

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