◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 先日、大阪・南港で大学野球を取材する機会に恵まれた。この球場で、大学野球…。

どこか懐かしい。そう、17年ぶりだ。

 阪神担当の若手記者だった2009年。ドラフトで指名された選手を目当てに足を運んだ。早く到着したため、前の試合を観戦。初めて見る左投手に目を奪われた。恥ずかしながら大学球界の知識は乏しく、名前も知らなかった。明らかに球が速い。ネット裏でスピードガンを構える学生に球速を尋ねた。予想以上だった。聞けば、3年生。興味を持ち、取材を依頼した。

阪神に指名された選手の“ついで”だと正直に伝えたが、笑顔で応じてくれた。

 「僕、めっちゃ阪神ファンなんです。頑張って、来年は僕が阪神に入ります」

 その日は、目当ての選手が期待通りに主役。初見の左腕については、1行も書くことはなかった。成果は翌日だ。記事のネタに困っていたところで、連投した“彼”が好投。前日の話を上司に売り込み、仕事ができた。直後の明治神宮大会で全国区になった佛教大の剛腕は翌10年のドラフト1位。ただし、中日だった。

 そんな思い出に浸ってから2週間後。目の前には、阪神戦で力投する大野雄大がいた。試合後に阪神打線の印象を語る表情が、また懐かしい。

21歳だった青年は37歳の一流プロだ。当時は9割が直球だった投球スタイルも違う。でも、雰囲気は変わらない。私も少し初心に返る気がした。

 今回の大学野球。また目当てとは別の選手が気になった。相変わらず、恥ずかしい。初めて知る名前だ。この子も下級生か。10年後、15年後。同じ気持ちになる日が来るのだろうか。(野球担当・安藤 理)

 ◆安藤 理(あんどう・おさむ)2021年入社。

前職からプロ野球取材18年目。今年はアマ野球も。

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