◆G1日本選手権競輪(5月1日~6日、平塚競輪場)

 横浜(現DeNA)、ソフトバンク、ヤクルトで活躍したNPB通算2186安打の内川聖一さん(43)とG1タイトルに限りなく近い男・松井宏佑(33)=神奈川・113期=とのスペシャル対談が、5月1日に開幕する競輪界最高峰のG1「第80回日本選手権競輪」(神奈川・平塚競輪場)を前に実現した。競技は違えど互いに日の丸を背負って戦ったことがある者同士、時間を忘れてトレーニング方法やオフの過ごし方など熱いトークを繰り広げた。

(取材・構成 永井 順一郎)

 内川聖一(以下内川)「松井君、きょうは対談が実現して本当にうれしく思います。ラグビーやサッカー、大相撲の力士には友人はいますが競輪選手はいませんでしたから。ガールズケイリンの選手とはお話ししたことがあるくらいです。自転車にも乗ったけど、バンクのあの傾斜は怖すぎた。競輪場には1月に初めて和歌山へ行って車券を買いました」

 松井宏佑(以下松井)「とんでもありません、こちらこそ内川さんという大スターと対談できるなんて光栄です。和歌山、自分も走っていました。決勝は9着でした」

 内川「エッ? 僕は9番車から車券を買ったんだよ。その時の走っている映像がこれ。松井君だったんだ」

 松井「それ自分です」

 内川「本当にビックリ。それでこの対談、何か縁があるかもね。松井君はどうして競輪の道を選んだのかな?」

 松井「自分は北海道の清里町出身なんですが、ずっとスピードスケートでした。大学もスピードスケートで専大に進み五輪を目指していましたがダメで、目的を失っていた時に、自分の力で勝負でき賞金も稼げる競輪に魅力を感じたんです」

 内川「野球はチームプレーだけど、競輪もラインがあるから一種のチームプレーと言ってもいいのかな?」

 松井「ラインはありますけど最後は力勝負になります。

自分はスピードスケートで五輪に出られなかったので、自転車で夏の五輪を目指してナショナルチームにも所属していました。2009年のWBC決勝、VS韓国戦で内川さんがみせたスーパープレー(レフトへのライナーを内川がスライディングしながら逆シングルでキャッチ。素早く二塁に返球し打者走者をアウトに)は今でも忘れられません」

 内川「ありがとう。あの時は本当に無我夢中だった。国内もすごく盛り上がっていたから」

 松井「国を代表して戦う、日の丸を背負うことは特別な感覚があります」

 内川「日の丸を背負うことについて最初はあまりわかっていなかったけど、国外で戦って国旗が掲げられるのを見た時にこの気持ちが日本代表として戦うということなのかと感じたね」

 松井「内川さんは試合に臨むにあたりルーティーンとか気にしますか?」

 内川「あまり気にしたことはないかな。こだわりすぎるのもどうかと思うし。遊び心のあるルーティーンはいいと思うな」

 松井「僕もこだわりません。それよりもいざ発走するとき、いかに自分がゾーンに入っているかが重要だと思っています」

 内川「分かるなその気持ち。でもゾーンに入ろうと頑張り過ぎるのも逆効果になるからね。いかに自分をコントロールできるか。そのためには準備をしっかりすることだと思う。僕は経験の重要さを知って、怖さを乗り越えることができた」

 松井「経験は大事だと思います。

野球もそうですが競輪も相手が対策を練ってくるのでそこをどう打ち破るかです」

 内川「僕は元々メンタルが弱かったけど、ずっと強くなりたいと思っていた。そしてどうやって強くなれたかと言えば、自分が弱いと認めること。それができてメンタルが強くなった」

 松井「自分も決して弱くはないと思います。以前はヤジに対して反応していましたが、今は応援してくれている愛情の裏返しだと思っています。トレーニングで重要なことを聞きたいです」

 内川「自分がどうすればいいか、経験を積むにつれて分かってくる。今までやってきたことを変えてもいいけど『幹』だけは残さないといけないと思う」

 松井「新しいことにチャレンジするのはいいことだと思いますが、内川さんが言われるように根本的な部分は残すべきだと僕も思います。競輪はオフがないのですが内川さんは現役時代、オンとオフの使い分けはどうされていましたか?」

 内川「もっぱらゴルフ(笑)。ゴルフを楽しみたいからシーズン中頑張るみたいな(笑)。松井君はゴルフはやらない? 趣味は何かな」

 松井「ゴルフは誘われて一式そろえたんですが、コースには出ていません。ぜひ内川さんに教えてもらいたいです。趣味というか強いてあげればファッション。よく銀座に買い物に出掛けます」

 内川「どうりでおしゃれだと思いましたもん。

ゴルフはぜひ一緒にやりましょう。食べ物はやはり肉?」

 松井「焼き肉ですね。競輪選手は打ち上げといえばほぼ焼き肉(笑)。地方で大会があると早く予約しないといけないので大変です」

 内川「実はこの対談が終わったら焼き肉なんですよ(笑)。焼き肉も今度行きましょう。その前に日本一を決める日本選手権競輪で優勝しないと」

 松井「ホームバンクで開催されるので恥ずかしい競走はできません。もちろん、優勝を狙います。優勝して焼き肉をごちそうさせてください」

 内川「生で松井君の走りを見てみたい。日本選手権競輪でも自分を信じて頑張ってください」

 松井「ありがとうございます。地元でのビッグレースなので優勝目指して精いっぱい頑張ります」

 ◆内川 聖一(うちかわ・せいいち)1982年8月4日、大分県生まれ。43歳。大分工から2000年ドラフト1位で横浜(現DeNA)入団。

現在競輪のトップで活躍している松谷秀幸は同年ドラフト3位でヤクルトに入団している。08年首位打者、最多安打、最高出塁率のタイトルを獲得。10年オフにソフトバンクへFA移籍。18年に2000安打達成。20年オフにソフトバンクを退団しヤクルト入団。22年限りでNPBでの現役を引退。184センチ、92キロ。

 ◆松井 宏佑(まつい・こうゆう)1992年9月24日、北海道清里町生まれ。33歳。スピードスケートで五輪目指し、駒大苫小牧高から専大に進学。113期生として日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)入学。18年7月デビュー。

先行、まくりを武器に頭角を現し、ナショナルチームにも選ばれる。518戦180勝。166センチ、78キロ。

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