馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はエイシンヒカリが勝った2015年のエプソムCを取り上げる。

その後、海外G1を連勝する芦毛のディープインパクト産駒による重賞初勝利だった。

 わずか首差でも、強さの際立つ逃走劇だった。エイシンヒカリは好スタートを決めて真っすぐハナへ。後続を引きつける逃げで、1000メートル通過59秒2のマイペースに持ち込んだ。鞍上の合図に少し外へよれる場面もあった直線。それでも内を突いたサトノアラジンが迫ると、もうひと伸びして、2連勝で重賞初制覇を果たした。

 前走の都大路Sに続いて手綱を執った武豊は「レース前、すごく落ち着いていたので、いいレースができると思っていた。道中も右にもたれなかったし、直線も自分で内ラチから外していった感じで、上手に走れていた」。前人未到のJRA重賞300勝まであと2とした勝利を、満面の笑みで振り返った。

 デビューは3歳の4月と遅かったが、オープン特別までノンストップで無傷の5連勝。2戦目以降は逃げにこだわった。特に前年秋のアイルランドTでは大逃げから直線では大きく膨れ、直線では外ラチ沿いを走る相当な距離ロスがありながらも、押し切るインパクト抜群の内容。

芦毛のディープインパクト産駒ということもあり、個性派として注目を集めていた。

 武豊と個性派の逃げ馬といえば、1990年代後半に圧倒的なスピードでファンを魅了したサイレンススズカが思い浮かぶ。「タイプが違うけどね。今日の感じならコントロールは利くし、競馬の幅が出てきているので、抑える競馬もできそう。まだ1度しか負けていない馬で、まだまだ良くなりそう。秋は大きいところに行きたい」。天才は無限の可能性を感じ取る。サイレンススズカは11戦目の中山記念で重賞初タイトルを手にしてから、連勝街道をばく進した。

 偉大な先輩に続くように、次戦の毎日王冠も逃げ切り。天皇賞・秋こそ控える競馬で9着に終わったが、その後に海外路線へ舵(かじ)を切ってから再び快進撃が始まった。2015年末の香港カップ、2016年5月の仏イスパーン賞とG1・2連勝。イスパーン賞では2着に10馬身差をつける圧勝で、その名を世界に知らしめた。

 その後は勝利がなく、同年末に引退したが、ロンジンワールドベストレースホースランキングで世界1位に輝くなど、国内外で輝きを放った名馬だった。

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