馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はキズナが勝った2013年の京都新聞杯を取り上げる。

毎日杯に続く重賞連勝で、日本ダービー制覇へ最高の追い風を吹かせた。

 大外から突き抜けた。最後の直線に入って、ひと際大きくなった観衆の声。それに呼応するかのように後方のキズナは四肢を一杯に伸ばした。内の馬群を一気にのみ込むと、最後は流し気味ながらも上がり3ハロンはメンバー最速となる34秒5。他馬を寄せつけない末脚で、ダービーへ大きく前進した。

 ゲートのタイミングが合わず、出遅れるロス。前残りが目立つ馬場で最後方からの競馬を強いられたが、それも一切問題にしなかった。「前とは距離が離れていたけど、この馬のリズムで行こうと。直線に向いてゴーサインを出したら、さすがにいい走り。これで楽しみになった」と武豊。直線だけで勝負を決めたパートナーをたたえた。

 期待通りの勝利に佐々木調教師も笑みが絶えない。「走るね。次元がちょっと違う。きょうはまだ85くらいだったけど、上がってきてもケロッとしてるし、これからダービーに向けて100になるんじゃないかな。うれしいなあ」。

 東日本大震災からの復興の思いを託され、命名されたキズナ。淀の滑走路で勢いをつけたディープインパクト産駒は、続く日本ダービーも勝利。10年の落馬負傷から勝利数が伸び悩んでいた武豊が「僕は帰ってきました!」と喜びを爆発させたのはあまりにも有名だ。同年秋には凱旋門賞で4着と健闘した。

 古馬になってからは故障などの影響もあり、5戦走りながらも勝ったのは4歳の始動戦だった大阪杯のみ。15年9月に栗東での調教後、右前繋(けい)部浅屈腱(けん)炎を発症し、現役引退が発表された。同年の天皇賞・春(7着)がラストランだった。

 引退後は社台SSで種牡馬となり、ディープボンド(2021、22年阪神大賞典など重賞4勝)、ソングライン(2022、23年安田記念を連覇)、ジャスティンミラノ(2024年皐月賞を制覇)などを輩出。今や日本競馬界で存在感の際立つ種牡馬となっている。

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