フィギュアスケートで現役引退していた男子の宇野昌磨さん(28)と、女子の本田真凜さん(24)が22日、都内で会見し、アイスダンスでカップルを結成しともに現役復帰することを表明した。今後はトヨタ自動車の所属選手として2026―27年シーズンから競技会に参加し、今秋にも元五輪メダリストと元世界ジュニア女王による「しょまりん」がデビューする。

交際中の2人は声をそろえて「2030年のオリンピックに出場することです」と目標を掲げた。

 息ピッタリに、「しょまりん」の新たな挑戦が始まった。アイスダンスのカップルを結成し、現役復帰を発表した宇野さんと本田さん。この日、都内で会見し100人近い報道陣を前に目標を問われると、宇野さんが声のボリュームを上げた。「とても大事な部分なので、2人の口から言わせてください」。お互いが目線を合わせながら「せーのっ」とひと呼吸。そして、「2030年の、オリンピックに出場することです」と完璧にそろえてみせた。

 シングルで18年平昌から五輪2大会連続メダルの宇野さんと、16年世界ジュニア女王の本田さんは24年に一度は引退。プロスケーターになった。22年には交際も公表していた。ともに競技人生に思い残すことはなかったが、「真凜のスケートを見る中で、より多くの人にその素晴らしさを伝えたい」と、宇野さんがアイスダンス転向を打診したという。本田さんはやや戸惑いもあったが「一緒に目指したい」と決断。

24年10月から取り組み、アイスショーでは2人が組んだ演技も披露していた。

 固い決意がにじんだ会見だった。「五輪がどれだけ難しいかを知っている」と宇野さん。26年ミラノ・コルティナ五輪ではなく、30年のフランス・アルプス地方での五輪出場に照準を定めた。「同じスケートでも、全く新しい競技をしている感覚」と、息を合わせてただ滑るところから始まった練習。アイスダンスの本場、カナダで行った約2週間のトライアウトでは、わずか10秒間のパートを最低、3時間練習する選手たちの姿を目にした。共同作業の奥深さを目の当たりにしつつ「刺激になった」と貴重な経験を積んだ。

 来季の競技日程は未定だが、例年12月に行われる全日本選手権を目指し、まずは秋の同予選会からの出場を予定している。本田さんにとって五輪は夢の舞台。「出るからには勝ちを目指して頑張りたい。昌磨君となら実現できるかも」と語った。宇野さんも「2人の目標だからこそ、強い思いでかなえたい」と応えた。

「しょまりん」がフィギュア界に新たな風を吹かせる。(大谷 翔太)

◆「しょまりん」に聞く

 ―挑戦を誰かに伝えたか。

 真凜「家族には伝えた。一番最初に、妹(望結)が私たちをまとめて呼び出す時に『しょまりん』と。それがきっかけだと思う」

 ―お互いについて。

 昌磨「どれくらい(真凜が)努力してきたか。僕がゲームをしている時も、アイスダンスについて勉強してくれている」

 真凜「(勉強)してください」

 昌磨「…すいません」

 ―宇野さん自身がプロゲーマーとアイスダンスの“二刀流”になることについて。

 昌磨「1日は24時間あるので。12時間練習して、残り12時間。そこで何とか食らいついていければなと思っている」

 ―元々アイスダンスに興味があったのか? 本田さんの滑りを見る中で挑戦したいと思うようになったのか?

 昌磨「真凜のスケートを見ていく中で、多くの人にその素晴らしさを伝えたいと思った。ぶっちゃけ(相手が)僕じゃなくても真凜の素晴らしさは伝わると思う。でも、他の男の人とトップで滑っている姿を想像しても、いや、それはな、と思って。

絶対、隣は自分がいいなって。僕は思うんですよ。なので、こういう決断になった」

 ◆シングルからアイスダンスへの挑戦

 ▽「かなだい」 男子シングルで2010年バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔が20年にアイスダンスに転向。村元哉中(かな)とカップルを結成し、22年に四大陸選手権で日本勢史上最高の銀メダルを獲得。

 ▽「いくこう」 櫛田育良(いくら、18)=木下アカデミー=と島田高志郎(24)=木下グループ=が25年5月にカップル結成。シングルと二刀流だった櫛田は来季からアイスダンスに専念する。

 ▽「りかしん」 18年グランプリファイナル女王の紀平梨花(23)が経験者の西山真瑚(24)=オリエンタルバイオ=と25年9月にカップル結成。25―26シーズンにデビューした。

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