RソシエダードのDF喜多壱也(きた・かずなり=20)が、スポーツ報知の独占インタビューに応じ、スペイン初挑戦で感じた思いなどを明かした。J1京都でのプロデビューから、J1出場は0試合でスペインに渡った190センチの大型センターバックは、25年7月にRソシエダードへ加入。

今季(25―26年シーズン)はセカンドチームが参戦するスペイン2部リーグで31試合に出場し、快挙と言える2部残留に大きく貢献した。次世代の日本代表を担う左利きの大器が、葛藤や困難を経て果たした海外移籍、チームメートとなった日本代表MF久保建英への感謝などを語った。(取材・構成 金川誉)

―京都の下部組織からトップ昇格、しかしケガなどもあり、J1でポジションをつかむ前の海外移籍は異例だった

 「最初にエージェントから(Rソシエダードが)興味を持っていると連絡をもらったときは、全然信じていませんでした。『もし本当だったらどうする?』って聞かれて、その時は何も考えずに『行きます』なんて軽く言っていたんです。そしたら1、2か月後に『本当にオファーが来た』って言われて。『やばい、本当に来た…』って、そこから急に悩み始めました」

―移籍への葛藤は?

 「ありました。やっぱりJで試合に出てから行きたいっていうのは強かったし、出ないまま行くのは逃げになるんじゃないかって。周りにどう思われるかなって、すごく迷いました」

―なぜ決断できたのか

 「(京都の)アカデミーの先輩たちの言葉が大きかった。(川崎)颯太君、(山田)楓喜君、(福岡)慎平君、(奥川)雅也君……。みんなが『若いうちに行け』って背中を押してくれて。特に『自分はオファーを断って、その後に話がなくなったこともある。そうなってほしくない』と言われた言葉もあり、託されたような重みを感じました」

―スペイン語は話せないまま、新たな環境に飛び込んだストレスは? 

 「最初は選手の名前を覚えるのにも、1か月半ぐらいかかりました。

日本にいた時は常に同期と一緒に食事に行ったり、地元の友達と会うのも当たり前だったんで、それがなくなるのは本当に辛かったですね」

―チームメートとのルームシェアなど、環境に早く慣れるための工夫だったと聞く

 「監督の指示も、最初は英語なのかスペイン語なのかすら分からなかった。とりあえずレフトとライトから覚えなきゃと思って。でも、わかっているふりをするのが一番怖いと思ったので、もう「全部わからん!」って開き直って聞きに行きました」

―その後はすぐにセカンドチームでレギュラーを奪取。自信をつかんだのでは?

 「初日の練習では、とりあえず何もないところで思いきりジャンプしてみて、みんなが『おっ!』という感じで見てくれていたので、よかったのかもしれません。入りが良くて、練習試合でいきなりアシストという結果を出せたのも大きかった。でもまだ、自分では自分をいまいち信用できていないんです。『なんでおれ、ここ(Rソシエダード)にいるんやろ』って今でも思ってます」

―スペインで自身のどういった部分が評価されていると感じた?

 「技術はこっちの選手の方が圧倒的にうまいです。でも、目の前の相手に負けたくないっていう気持ちとか、泥臭くやる部分は負けていない。例えば試合で、倒れながら顔面でブロックしにいったシーンがあったんですけど、『最後の一歩』みたいなのは、京都の時に曺(貴裁)監督やコーチたちに叩き込まれた練習のおかげかなって。試合に出て初めて、あの練習の意味がわかりました」

―トップチームにも練習参加。久保建英選手とも一緒にプレーした

 「最初はもう『うわ、クボタケさんや!』ってファン目線でした(笑)。初めて会ったのは、僕が少し腰が痛くてトップチームのスタッフに見てもらった時、通訳をしてくれました。

そこからはご飯に連れて行っていただいたりしていたけど、サッカーを一緒にしたのはトップの練習参加が初めてでした。パススピードからプレースピードまで全然違いましたね。他にもブライス(メンデス)とか、映像見てるんかな?って思うくらい上手くて。え、この角度からパス出せるの、意味わからん、というプレーもありました。やはりレベルの違いを感じました」

―久保選手とはどんなコミュニケーションを?

「めっちゃ気にかけてくれます。美味しいスペイン料理に連れて行ってくれたり、ドラマやYouTubeの話をしたり。世間のイメージだと『弟』キャラかもしれないですけど、僕にとっては完全に『お兄ちゃん』です」

―選手としてさらに伸ばしたい部分は?

 「全部です。ビルドアップの技術もポジショニングも、攻撃に関することはもっとやらないとトップの舞台には立てない。左利きでサイズだけで、甘えて終わるわけにはいかない」

―J1で出場できなかったしこりは、いまだに残っている?

 「残ってますね。自分より年下の選手がJで出ているのを見ると、いいなと思うし、自分がJ1でどこまでやれるのかも気になる。だからこそ、今やってるスペイン2部やトップでの経験を形にしたいと思っています」

―今季、トップチームでベンチ入りも果たしたが、出場はなかった。次の目標は?

 「自分は絶対にまだまだ、な選手。

ここ(Rソシエダードのセカンドは)若手中心なので、同じ2部でも他のチームなら出られるかはわからない。まだまだ、サッカーについても知らないことが多すぎる。スペイン語も最初よりはわかる言葉も増えましたけど、まだ全然しゃべれない。久保選手とも、1日でも早く一緒に(試合で)プレーしてみたい。でも自分がそのレベルには達していないこともわかっているので、1歩1歩、成長していきたいと思っています」

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