先月、ソニーがブルーレイレコーダーの生産を終了すると発表。レグザも撤退を打ち出していて、ユーザーからは困惑の声が上がっています。

レグザに続きソニーも。倉庫が空になったら終了

この発表を受けて「駆け込み需要が起きているんじゃないか」と思い、ソニー製品を扱うお店に話を聞きました。「ソニーショップさとうち」の中村 泰之さんに聞きました。

「ソニーショップさとうち」代表 中村 泰之さん

ソニーさんの方も「倉庫にあるものが出し切ったら終了」っていう形。「お取り寄せ」もすぐなくなってしまった状況。情報を聞いた方が注文された感じで。その前に東芝のレグザがなくなったので、「もしかしたら」となんとなく。ただ、あまりにも早くてびっくりはした…。いちユーザーとして私、ブルーレイとかDVDとかのコンテンツを割と持ってるのでどうしようかな。ただ、ストックとして、おうちの在庫として置いているものが「4台」ぐらいある、タンスの中に眠ってる。さらにブルーレイディスク自身もソニーから絶版になりまして、その時買いだめしていていて「400枚」ぐらい。まさかブルーレイレコーダーがなくなるとは考えてもいなかったので、割り切っていただくしかないのかな…。

世界需要の9割は日本だった!ブルーレイの終焉の画像はこちら >>
<ブルーレイ(イメージ)>

中村さんは筋金入りの愛好家で、レコーダーは4台、ディスクを400枚保有しているそうです。やはり配信サービスでは見られない番組をコツコツと録り貯めてきたとのこと。

気になるのが「まだ買えるのか」といいう点。昨日、都内の家電量販店数件に問い合わせたところ、ある店舗では「完売」。別の店舗では「標準モデルなら店頭在庫は残っている」という回答でした。また、パナソニックやシャープのレコーダーは販売を今のところ続けているので、極端に慌てる必要はないかもしれません。

保存寿命は30~50年だが、再生機器が先になくなる懸念

では、こうして本体やディスクを確保したとして、果たして何年先まで使い続けられるのか。DVDやブルーレイの規格作りにかかわった、元「三菱電機」の技術者で、現在は大阪産業大学・教授の入江 満さんに伺いました。

大阪産業大学・工学部電気電子情報工学科・教授 入江 満さん

自分で「記録をして、お手元にラベリングをしてお持ち」ということであれば、30~50年ぐらいが一つの目途。

一世代「30年」、各世代ごとでずっと保存はできるでしょうねと。我々が一番心配しているのは、メディアはそういうふうな形である程度残っていくんでしょうけど、残念ながら丸い円盤だけを見て中に何が入っているか誰もわからない。何が言いたいかと言いますと、巻物であれば、バッと伸ばせば多少虫食いがあっても、すぐ見えますでしょ。でも引き出しの中から「丸い円盤」が出てきただけだと、「これは何でしょう?」と。

それを入れて再生する機器がいる。今デスクトップのパソコンにも、光ディスクのドライブはついてませんし、外付けで売るものも少なくなってきている。ということで「再生するための機器」、これの方が先になくなっていってしまうかもしれません。

再生するための機器も手に入りづらくなっています。パソコンに繋いでディスクを読み取る「外付けドライブ」についても今週、最大手のエレコムが販売終了を発表。先月にはバッファローも同様の案内を出しており、今後、後継機種は作られない見通しです。

それにしても、なぜたった20年ほどで終わりを迎えることになったのか(かつてのVHSは40年)。やはり、配信がここまで普及するとは、作った側も想定していなかったようです。

さらに、そもそもブルーレイディスクというのは、想像を絶する精密さで作られています。円盤の表面には、目には見えない細かい溝が螺旋状に刻まれていて、その溝と溝の間隔は、「髪の毛一本の幅」に千本が収まるほど。それが時速100キロで回転しながら、レーザー光で一本一本読み取られています。

テレビ放送を録画する文化は、日本独自のものだった

それほどの手間と技術をかけて、私たちは映像を「手元に残そう」としてきたわけですが、当たり前だと思っていたこの「録画」という習慣。

実は世界的に見るとかなり特殊なものだったようです。

大阪産業大学・工学部電気電子情報工学科・教授 入江 満さん

ある意味「日本特有の文化」だったようですね。結局我々はコレクションすることにモチベーション、達成感がある。特にテレビの映像に関しては、海外は同じ番組を何回も配信(再放送)する文化があったので、わざわざ自分で見逃したからといって記録をしておく必要性もなかった。
ただ現状は、いつでも見たい映画は見れる。ネットフリックスに入るか、どこかに入れば。アナログからデジタル、この普及を支えたのはやっぱり「光ディスク」だったと思う。一つ、使命は終えたんではないか。「やりきった感」はあるんだと思いますね、皆さん。

「録画して残す」という文化、実は日本独自のもの。世界のブルーレイ録画機の需要は、「9割」が日本だったというデータもあるほど、海外から見れば特殊な習慣だったそうです。

入江さんは学生にディスクを見せると「(ゴミ置き場で見る)キラキラしたカラス除けですか?」と言われるそうで、若い世代にはもう、縁のないものになっているのかもしれません。

ただ、今回の発表はあくまで「生産の終了」で、修理などのサポートをすぐにやめるわけではありません。とはいえ、部品の在庫がなくなれば直せなくなります。使う人がいる以上、できる限り長く窓口を守ってほしいところです。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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