ベルギーの突破はほぼ確実 エジプトは“王”の最後を飾りたい

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やはりベルギーは天才デ・ブライネ抜きには語れない photo/Getty Images

本大会開幕にあたりもっとも懸念される事項と言ってもいいのは、ホスト国アメリカと現在戦争状態にあるイラン代表が無事に参加でき、何事もなく試合が終わるかどうかだ。5月に入っても確実に参加できるという保証はまだなく、イランサッカー連盟は出場に向け、10項目の条件受け入れをアメリカ、メキシコ、カナダに要求した。

状況は不透明であるが、本稿ではイランが無事に参加できたという前提で話を進める。

イランはグループGでベルギー代表、エジプト代表、ニュージーランド代表と戦う。最強と目されるのは、15回目の出場となるベルギーだ。

いわゆる“黄金世代”はほとんど代表からいなくなってしまったが、3月の親善試合ではFWロメル・ルカク、MFケビン・デ・ブライネ(ともにナポリ)がメンバーに復帰した。負傷に悩まされた両選手だが、復帰すればチームに与える影響は大きい。特にデ・ブライネは一振りのパスで状況をひっくり返す卓越した技術と戦術眼を持ったレジェンドであり、調子が万全でなくとも存在の大きさは無視できない。

今季ゴールやアシストを量産し、一皮剥けたFWジェレミー・ドク(マンチェスター・シティ)、エールディヴィジで17得点を記録した20歳のFWミカ・ゴッツ(アヤックス)などタレントは粒揃いで、もちろん最後尾にはGKティボー・クルトワ(レアル・マドリード)が控える。グループ内ではほぼ1強であり、ベルギーの突破はまず間違いないと見ていい。

そのベルギーと、初戦で当たるのがエジプト。33歳となったエースFWモハメド・サラー(リヴァプール)にとっておそらく最後の大会となる。長らくサラーのワンマンチームと見られていたが、今のチームにはもうひとりの得点源、FWオマル・マルムシュ(マンチェスター・シティ)がいる。また、世代別フランス代表歴があり、ラ・リーガのレアル・オビエドで10番を背負うMFハイセム・ハッサンが3月の代表戦で初選出されている。まだグループリーグを突破したことがないが、若いタレントの力も借りて“ファラオ”の最後の舞台に華を添えたいところだ。

イランは注目度高し 初のGL突破を果たせるか

[特集/2026W杯大展望 グループG]新世代タレントも生まれたベルギーが“ほぼ1強” イランは無事に参加できるか

イランは国際情勢を跳ね除けて無事に出場できるだろうか photo/Getty Images

イランは前述のとおり難しい状況にあるが、それだけに注目度は高いと言うこともできる。アジアではW杯の常連国のひとつだが、実はエジプトと同じくまだグループリーグを突破したことがない。しかしグループ内にベルギー以外にいわゆる強豪国がいない状況は、初のGL突破に向けて好条件である。

GKアリレザ・ベイランヴァンド(ペルセポリス)、MFサイード・エザトラヒ(アル・アハリ・ドバイ)、FWメフディ・タレミ(オリンピアコス)など、これまでの代表チームを支えてきたベテランたちも健在。アジアカップで日本が苦しめられたように、フィジカルの強さを活かした戦い方もできるチームだ。初戦はニュージーランド。ここに勝って2戦目のベルギー戦でどれだけ粘れるかが分かれ目となるだろう。

ニュージーランドはオセアニアに初めて与えられた直接出場枠を勝ち取ったチーム。ニュージーランドといえばラグビーのオールブラックスが有名だが、サッカーチームは白を基調としたシャツをまとい、オールホワイツと呼ばれる。

ワトフォードなどでプレイした指揮官ダレン・バゼリーはここ十数年の間に、ニュージーランドのすべての世代別代表を指揮してきた監督。MFマルコ・スタメニッチ(スウォンジー)、MFベン・オールド(サンティティエンヌ)など、チームには20代前半の、ヨーロッパのクラブでプレイする“欧州組”が何人かいるが、バゼリー監督は彼らのこともよく知り尽くしている。そしてチームにはプレミアで恐れられる長身ストライカーのクリス・ウッド(ノッティンガム・フォレスト)がいる。



今大会最弱国の1つとも考えられているが、オールホワイツは2010年大会でイタリア代表、スロバキア代表、パラグアイ代表と同組となり、すべての試合に引き分け、出場32カ国中唯一の無敗で大会を終えるというおもしろい成績を残している。彼らに勝てなかったことで、イタリアはグループリーグ突破を逃すハメになり、現在に続く冬の時代が始まっている。きらびやかなスターもいないチームだが、舐めてかかればこのときのイタリアのような目に遭うかもしれない。

文/前田 亮

※電子マガジンtheWORLD317号、5月15日配信の記事より転載

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