トヨタ自動車(7203) や 東京エレクトロン(8035) を筆頭に日本を代表する大企業の決算が集中した先週、日経平均株価(225種)の10日(金)終値は前週約7円安の3万8,229円となり、前々週とほぼ変わらず、でした。


 決算発表前の期待が高かった分、どちらかというと市場予想未達で売られる銘柄の方が目立ちました。


 トヨタ自動車は8日(水)に1兆円を上限にした自社株買いを発表しましたが、前週末比4.4%安、 三菱商事(8058) も2日(木)に今期に当たる2025年3月期に前期より42.8%多い大幅増配予定を公表していますが、4.5%安でした。これまで株価急騰の切り札だった増配や自社株買いが材料出尽くし売りにつながる大型株も目立ちました。


 上昇相場のけん引役といえる半導体株も強弱が鮮明でした。


 半導体洗浄装置の SCREENホールディングス(7735) が9日(木)に2025年3月期純利益が前期比2%増となる見込みや1株当たり21円増となる224円の配当計画を発表しましたが、市場からは物足りないとの評価を受け、翌10日(金)には前日比12.2%安と大幅下落。


 一方、半導体の素材となるシリコンウエハ製造大手の SUMCO(3436) も2024年1-3月期の営業利益が前年同期比66.5%の減益だったものの、市場予想を上振れしたことで、株価は前週比8.6%高と急伸しました。


 10日(金)の取引終了後には半導体株の主力である東京エレクトロンが今期2025年3月期の経常利益が前期比26%増となる見込みと、88円の大幅増配計画を発表しました。


 今週、東京エレクトロンがこの好決算&増配にどう反応するか注目です。


 一方、米国に目を向けると、3日(金)発表の4月雇用統計で雇用者数などが市場予想を下回ったことで、9月利下げへの期待が高まりました。10日の機関投資家が運用指針にする米国のS&P500種指数は前週末比1.85%高と3週連続で上昇。


 決算発表による材料出尽くしや根強い為替介入への警戒感で上値の重い日本株とは相反して、好調な相場展開が続いています。


 今週は、そんな米国市場で最も関心の高い物価関連指標が発表されます。


 物価高が予想以上に鈍化すると、利下げ期待がさらに高まり、米国株の上昇に弾みがつくでしょう。


 日本では今週も引き続き2024年3月期決算発表が相次ぎます。


 今週の決算は外食産業や食品メーカー、建設業、そして15日(水)発表の 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) をはじめとした銀行業など、内需株中心です。


 為替市場では政府と日本銀行による為替介入とみられる急速な円高からの揺り戻しが続き、10日(金)のニューヨーク外国為替市場終値は1ドル=155円80銭前後まで円安が進みました。


 今週、もし米国の物価が高止まりするようなら利下げが遅れるため、日米金利差拡大で円安トレンドが加速し、再び為替介入のような動きが起こるかもしれません。


 13日(月)の日経平均終値は、前週末比49円安の3万8,179円でした。一時、節目の3万8,000円を下回る場面もありました。


先週:高期待値の株が月並み決算で売られ、低期待値株が好決算で買われやすい展開に! 

 先週の日本株は、政府・日銀による為替介入があったと思われる4月29日(月)午後と5月2日(木)早朝の急速な円高進行がボディブローのように効いて、上値の重い展開になりました。


 多くの企業が2024年3月期の好決算を発表したものの、今期2025年3月期の見通しが保守的で、材料出尽くし売りや失望売りで下落するケースが目立った背景にも「いつ何時、また為替介入があるかもしれない」という恐怖感があったのかもしれません。


 8日(水)の取引時間中に決算発表したトヨタ自動車の今期2025年3月期の営業利益は約20%減益の見通し。


 8日(水)の同社の株価は、同時に発表した発行済み株式の約3%に相当する総額1兆円の自社株買いを好感して一時的に上昇したものの、結局、前日比0.6%安と横ばい。週間でも前週比4.4%安でした。


 むろん、市場にポジティブサプライズを呼び起こした企業はストップ高まで買われるほど急騰しています。


 市場予想を大幅に上回る今期2025年3月の業績見通しを発表した 川崎重工業(7012) の株価は前週比19.9%高。


 同じく2024年1-3月期の営業利益が市場予想の2.6倍も上振れした化粧品メーカーの コーセー(4922) の株価が前週比22.2%高。


 どちらかというと、これまで上がり過ぎた株が予想とほぼ変わらない月並みな好決算を発表しても下落。


 コーセーのように下降トレンドだった株が予想を超える好決算を発表すると上昇。


 というように、材料出尽くし売りと見直し買いが入り混じった展開になりました。


 一方、米国では弱かった4月の雇用統計を受けて、9月利下げ説が台頭していることが引き続き、株価の追い風になりました。


 7日(火)には、金融引き締めに積極的なタカ派として知られるミネアポリス地区連邦準備銀行のカシュカリ総裁が、物価上昇率が3%台で高止まりするようなら金利引き上げも有り得ると発言。

一時的に株価が急落しましたが、盛り返しました。


 10日(金)にはミシガン大学消費者信頼感指数の5月速報値が予想を大きく下回り、6カ月ぶりの水準まで落ち込みました。


 同指標の1年先、5年先の期待インフレ率が前月より上昇するなど、米国の個人消費者が物価高に対して、より悲観的になっていることも判明しています。


 これを受け、米国の長期金利の指標である10年国債の利回りは4.4%台から4.5%台までじわりと上昇しており、粘着質なインフレ(物価高)は今週も米国株の不安要素になりそうです。


今週:米物価動向発表、株価は乱高下必至!エヌビディア決算に向け半導体株は神経質な動き?

 今週の米国市場では、14日(火)に米国の4月PPI(卸売物価指数)がまず発表。


 続く15日(水)に米国の物価動向を占う最重要指標といえる4月CPI(消費者物価指数)も発表になります。


 前回4月10日(水)発表の3月CPIは前年同月比3.5%の上昇で予想を上回る伸びとなり、物価上昇が加速する悪い結果になりました。


 その一方で4月11日(木)発表の3月PPIは前月比0.2%上昇と予想を下回り、2月の前月比0.6%の伸びから大きく鈍化。


 CPIとPPIが相反する結果となり、結果的にはPPIの鈍化で今後、インフレは悪化しないという観測が広がり、米国株が上昇する展開になりました。


 今回、4月PPIが発表される14日(火)には、オランダで開かれる会合で米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が発言を行います。


 直前に発表された4月PPIを念頭に、利下げに踏み切る時期について具体的な言及があると株価が大きく動く可能性もあります。


 15日(水)には他にも、米国の個人消費の動向が分かる4月小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数など重要指数が発表されます。


 日本では先週に引き続き、日本企業の2024年3月期決算が最盛期を迎えます。


 13日(月)には 日清食品ホールディングス(2897) など商品値上げで好業績が続く食品会社、子会社の英国半導体設計会社 アーム・ホールディングス(ARM) の低調な業績見通しを受けて今後が心配な ソフトバンクグループ(9984) などが決算発表。


 14日(火)には 鹿島(1812) など大手ゼネコン、 アサヒグループホールディングス(2502) など飲料メーカー、 ソニーグループ(6758) や直近の円高進行が業績の追い風となる円高メリット株代表の ニトリホールディングス(9843) が決算発表。


 15日(水)には すかいらーくホールディングス(3197) など外食産業やITサービスなどを手掛ける中小型のサービス関連株、そしてメガバンク3社の決算が集中します。


 他にも、PBR(株価純資産倍率)が1倍前後の割安好業績株の決算発表が相次ぐため、増配や自社株買いの発表で従来のように株価が急騰するかどうかが注目されそうです。


 今週、決算発表する企業には、内需株として位置づけられる銘柄が多くなります。


 内需株はこれまでコロナ明けの個人消費復活やインバウンド(訪日外国人)需要、製品・サービスの値上げ効果で好業績が続き、株価も上昇傾向でした。


 今期2025年3月期の業績予想が期待を上回れば続騰、期待に比べて低い場合は材料出尽くしで急落と、今期業績の会社予想が株価の明暗を分けそうです。


 来週5月22日(水)には日米AI(人工知能)相場の主役である米高速半導体メーカー・ エヌビディア(NVDA) の決算発表が予定されています。


 先週7日(火)にはAI関連株に強気だった米国の著名投資家スタンリー・ドラッケンミラー氏がエヌビディア株の一部を売却したという報道が流れ、日米半導体株が一時的に急落しました。


 エヌビディアが今回発表予定の2024年5-7月期の売上高は前年同月比3.3倍増の見通しですが、この非常に高いハードルをさらに上回ることが株価続騰には必要です。


 そう考えると、エヌビディアのネガティブ決算を警戒した半導体株の利益確定売りが今週後半に始まる可能性も高く、要注目といえるでしょう。


(トウシル編集チーム)