イラン情勢は改善の方向に向いていると考えられますが、日経平均株価は米国のイラン攻撃前の水準を回復するなど、期待感が先取りされている状況です。今後は出遅れ銘柄に関心を高めるべきであり、高配当利回り銘柄などはその候補となり得るでしょう。

決算発表を受けて安心感が高まる出遅れ銘柄には押し目買いのチャンスと判断します。


配当利回りTOP15:丸井グループなど3銘柄がランクイン。出...の画像はこちら >>

アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15

コード 銘柄名 現在値 配当
利回り コンセンサス
レーティング 移動平均線
乖離率 月間
騰落率 7226 極東開発工業 2823.0 5.14 4.0 ▲11.41 ▲8.79 2154 オープンアップグループ 1769.0 4.88 4.0 ▲3.42 0.51 2124 ジェイ エイ シー リクルートメント 871.0 4.67 4.5 ▲4.21 0.46 6436 アマノ 3914.0 4.60 4.0 ▲1.15 1.27 4613 関西ペイント 2408.5 4.57 3.9 ▲6.06 ▲3.70 7956 ピジョン 1693.0 4.51 3.6 2.87 6.28 2181 パーソルホールディングス 241.0 4.49 3.6 ▲2.92 2.73 3612 ワールド 1567.0 4.47 4.0 ▲0.34 2.02 4189 KHネオケム 2778.0 4.43 4.0 ▲1.89 ▲1.21 7283 愛三工業 1935.0 4.39 3.7 ▲6.86 ▲0.26 2914 JT(日本たばこ産業) 5800.0 4.39 3.7 ▲1.26 1.56 5110 住友ゴム工業 2119.5 4.37 3.9 ▲10.40 0.09 4631 DIC 3747.0 4.36 4.0 ▲5.46 ▲6.09 8252 丸井グループ 3034.0 4.33 3.8 ▲2.17 ▲1.62 4028 石原産業 2783.0 4.31 3.5 ▲12.21 ▲11.93 ※データは2026年4月17日時点。単位は配当利回りと月間騰落率、移動平均線乖離率は%、時価総額は億円。配当利回りは予想、移動平均線乖離率の基準は13週移動平均線。

※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。


※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。


 表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。


 4月17日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。


 なお、上場市場は各社ともにプライム市場となっています。


イラン情勢改善期待で日経平均は一気に高値を更新

 3月13日終値~4月17日終値までの日経平均株価(225種)は8.7%の大幅上昇となりました。


 3月中はイラン情勢の緊迫化を警戒視する動きが優勢となり、特にホルムズ海峡の封鎖長期化を警戒した原油相場の上昇が懸念視されました。


 3月末にかけては、トランプ米大統領がイランのエネルギー施設、発電所攻撃の可能性を警告したことで、戦争の一段の泥沼化が意識され、日経平均株価は3月31日に年初来安値の5万0,558.91円まで下落しました。


 ただ、4月に入ると様相が一変、株式市場は急速に反転しました。トランプ大統領の「イラン攻撃が長引かない」との見解や、イラン大統領による「条件が合えば戦争終了の準備がある」との発言が伝わり、戦争の早期終結への期待感が一気に高まることになりました。


 米国とイランの1回目の停戦協議は合意に至りませんでしたが、その後も情勢改善への期待が継続し、4月16日には年初来高値水準を更新しました。


 なお、4月1日、8日の上昇幅はそれぞれ、歴代上昇幅のベスト5に入っています。


 こうした中、ランキングTOP15はまちまちで、上昇が8銘柄、下落が7銘柄となっています。3月末配当権利落ちの期間となったことで、全体相場の上昇に対して、高配当利回り銘柄の上昇率は総じて低調な推移となりました。


 また、全体相場のけん引役が半導体・人工知能(AI)関連銘柄であったことも、高配当利回りなどのバリュー株には逆風でした。


 上昇率が目立った銘柄は ピジョン(7956) で、海外事業の成長期待からアナリストの高評価の動きなどが観測されています。ただ、上昇率は日経平均に及びませんでした。


 一方、下落率が大きかったのは 石原産業(4028) 、 極東開発工業(7226) 、 DIC(4631) となりました。


 石原産業やDICなどは化学セクターに属し、中東情勢悪化による原材料の調達難、価格上昇などへの懸念が上値を抑えています。

極東開発工業も、塗装材料の調達に不透明感が生じていると発表しています。


大幅増配発表のワールドなどが新規にランクイン

 今回、新規にランクインしたのは、 ワールド(3612) 、 丸井グループ(8252) 、石原産業(4028)の3銘柄。除外となったのは、 ローランド(7944) 、 日本M&Aセンターホールディングス(2127) 、 船井総研ホールディングス(9757) でした。


 ワールドは4月3日に配当方針の変更を発表、それに伴って2027年2月期年間配当金は前期の54.5円から67円に引き上げるとしたため、配当利回りが高まりました。


 石原産業は株価の大幅下落でランクインし、丸井グループも株価下落で相対的に配当利回りが高まりました。


 一方、除外となったローランドは国内証券の投資判断格上げを手掛かりに株価が急伸し、配当利回りが低下しました。


 日本M&AセンターHD、船井総研HDも相対的に株価が強い動きとなったことで、ランク外に順位は低下しました。この2銘柄の株価上昇に関しては、足元での情報ソフト株見直しの動きに乗った面もあるでしょう。


 アナリストコンセンサスと会社計画の配当予想で乖離が大きいのは、極東開発工業(7226)、 ジェイ エイ シー リクルートメント(2124) 、ワールド(3612)、 KHネオケム(4189 )、 愛三工業(7283) 、 JT(日本たばこ産業:2914) 、 住友ゴム工業(5110) 、DIC(4631)などとなります。


 会社計画ベースの配当利回りは、極東開発工業が4.96%、ジェイ エイ シー リクルートメントが4.36%、ワールドが4.28%、KHネオケムが3.96%、愛三工業が3.98%、JTが4.17%、住友ゴム工業が3.96%、DICが3.74%となっています。


 それぞれコンセンサス水準が会社計画を上回る状況になっています。


 とりわけ、愛三工業、住友ゴム工業、DICはコンセンサス水準が高すぎる印象があります。極東開発工業も配当性向の水準からみて、会社計画を上振れる公算は小さそうです。


 一方、ジェイ エイ シー リクルートメント、JT、KHネオケムなどは、業績次第によって会社計画水準は上振れる余地もあるでしょう。


日経平均には過熱感も意識され、出遅れ銘柄への資金シフトに注目

 イラン情勢に対する警戒感は一段と和らぐ方向と考えられ、早い段階で両国間の終結合意がなされる可能性もあるでしょう。ただし、日経平均は米国のイラン攻撃前の水準をすでに回復しており、今後の状況改善に対するポジティブな反応は限定的になってくる可能性があります。


 加えて、仮に戦争終結が合意されても、エネルギーやナフサの供給懸念などに伴うインフレ進行、個人消費悪化は避けられないとみられます。


 とりわけ、ここまでの株価上昇をけん引してきた半導体やAI関連銘柄には過熱警戒感が高く、今後の物色は出遅れ銘柄に移行していく公算が大きいとみられます。高配当利回り銘柄も、こうした物色対象になってくるでしょう。


 これからは2026年3月期の決算発表が本格化しますが、決算発表を受けて安心感が高まるような出遅れ銘柄は、押し目買いのチャンスとも判断されます。


(佐藤 勝己)

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