かつての「成田空港駅」

 成田空港といえば、国内屈指の大空港です。ターミナル内は常に人の流れが絶えず、飲食店や土産店もにぎわいを見せています。

アクセス手段も複数整備されており、ターミナル直結の鉄道駅もあります。しかし、その一方で、ほとんど利用されない駅が存在します。東成田駅です。実際にこの駅を訪れてみました。

【写真】雰囲気スゴい…これが「旧成田空港駅」驚愕の現状です

 この駅は、かつて「成田空港駅」として開業し、空港アクセスの中心的な役割を担っていました。その後、現在の空港直結駅が整備されたことで名称が変更され、役割も大きく変わりました。2026年現在では、空港利用者の主な動線からは外れた位置にあり、列車の本数も毎時1本から3本程度にとどまっています。利用者は空港関係者がごくわずかに見られる程度です。

 東成田駅へは、第2ターミナルに直結する空港第2ビル駅から地下通路でアクセスできます。また、ターミナル連絡バスの停留所から徒歩で向かい、「第5ゲート」から駅構内に入るルートもあります。ただ、この第5ゲートはプレハブのような簡素な建物で、案内がなければ駅の入口とは気づきにくい外観です。内部には警備員が常駐しており、通行時に声をかけられる点も特徴的です。

 一方で、ガラス張りの駅舎も存在し、外観としては一般的な駅の入口の形をしていますが、こちらからの出入りはほぼいないように見受けられました。

駅舎は「なにココ、本当に空港かよ…」

 駅構内に入ると、空港内とは対照的な静けさが広がっています。照明は設置されていますが、現行の空港駅と比べると著しく暗く感じられます。人の気配が少ないこともあり、状況によっては落ち着かない感覚を覚える場面もありました。改札前の広場には「曲水の宴」と書かれた壁画や、柱を囲むように配置されたベンチが設けられていますが、看板の文字が薄れている箇所や、広告が撤去された跡も見られ、経年による変化がそのまま残されています。

 改札からホームへ向かうコンコースでは、一部が壁で仕切られています。上部から内部をのぞくと、営業を終えた店舗の跡が確認できます。これは、かつての設備の一部を閉鎖したうえで現在の運用が続けられているためであり、利用範囲を限定する形で維持されている状況です。

 ホームは、かつては2面4線で運用されていましたが、2026年現在では1面2線のみが使用されています。LED式の発車標は設置されていないものの、駅名標は電光式で表示されており、現役の駅として機能していることが分かります。一方で、使用されていないホームは照明が落とされており、明確に利用区画が分けられています。なお、照明が落とされていた方のホームの駅名標は「成田空港」となっていました。

 かつての成田空港の玄関口であったこの駅は、現在のにぎわいからは切り離された場所にあります。設備や構造は残されている一方で、利用状況とのギャップが空間全体の印象を特徴づけています。一般的な空港駅とは異なる静けさと雰囲気を持つ場所として、印象に残る駅でした。

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