ゼネコン大手の「大林組」ジャカルタの高速道路事業に参画 現地運営権会社の48.8%取得で経営関与へ

大手ゼネコンの大林組<1802>が、海外インフラ運営事業を拡大する。

インドネシアのジャカルタ都市圏で高速道路コンセッション(運営権)事業を手がけるPT JTD JAYA PRATAMAの株式を取得し、同事業に参画する。

国内建設事業を中核としながら、公共施設の整備・運営に民間の資金やノウハウを活用する手法であるコンセッション事業への参画を通じ、ストック型収益(継続的に得られる収益)を拡大し、東南アジアの都市インフラ需要を取り込む。

大林組はインフラ運営を重要な事業機会と位置付けており、同領域での出資やM&Aが今後の事業ポートフォリオ拡充に向けた選択肢の一つとなる可能性がある。

開発事業に優先的に参画できる権利を取得へ

大林グループは国内建設事業を中核としながら、それ以外の事業でも国内建設と同等以上の業績を上げることを目指している。

2026年3月期実績では、国内建設事業が連結売上高の60.5%、連結営業利益の74.5%を占めており、国内建設以外の事業(海外の建設事業や不動産事業、その他事業)は売上高、営業利益のいずれも半分に達していない。

この国内建設以外の事業拡大の方針に基づき、インフラ運営を安定的な収益が見込める領域と位置付け、企業価値向上につながる重要な事業機会としている。

大林組は1972年、インドネシアの有力企業PT PEMBANGUNAN JAYA(ジャヤ社)と共同でジャヤ大林を設立し、同国で建設事業を中心に事業基盤を築いてきた。

大林組が今回株式を取得するJTD JAYA PRATAMAは、ジャヤ社のグループ会社で、ジャカルタ中心部を横断する全長約31kmの高速道路運営権を持つ。

資本金は5兆1200億ルピア(約476億円)で、2025年12月期の売上高は1064億5400万ルピア(約9億9000万円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は688億ルピア(約6億4000万円)だった。

ジャヤ社の子会社で、JTD JAYA PRATAMAの親会社であるPT Jakarta Tollroad Developmentは、ジャカルタで開発予定の高速道路を運営する権利を持つ。

開発計画は第1期から第3期までで、大林グループはこれらの事業に優先的に参画できる権利を得る見込みという。

大林組は、ジャヤ大林と共同で現地法人PT Obayashi Concession Indonesia(OCI)を2026年7月31日に設立(大林組の出資比率は99.999%)する予定。

設立時の資本金は7700億ルピア(約72億円)で、インドネシア政府による土地収用完了時(2027年12月の予定)に5兆2000億ルピア(約484億円)に増資する予定。

OCIを通じてJTD JAYA PRATAMAの株式12.5%を取得し、その後、インドネシア政府による土地収用の完了を条件に、取得割合を48.8%に引き上げる予定。

過半数は取得しないものの、経営に大きく関与する見込みだ。

大林グループは、国内外の建設事業で培ったノウハウをJTD JAYA PRATAMAと共有し、道路運営の高度化や効率化を支援することで、同社の事業価値向上とコンセッション事業の成長につなげる。

あわせて、大林グループの収益力強化と事業ポートフォリオの拡充を進める。

事業ポートフォリオ拡充に向けた成長投資を増額

M&A Onlineのデータベースによると、大林組のM&Aに関する2010年以降の適時開示案件は4件で、このうち買収は2011年のカナダの土木工事会社の子会社化と、2023年の水処理関連施設の建設工事を手がける米国MWHの子会社化の2件だった。

大林組の有価証券報告書の沿革には、主なM&Aとして、2003年に冷暖房工事を手がける東芝空調(現 オーク設備工業)の子会社化や、2011年の不動産会社の新星和不動産(現 大林新星和不動産)の子会社化などが確認できる。

沿革にある直近のM&Aとしては、2023年の木材製造販売会社のサイプレス・スナダヤの子会社化がある。

大林組は2026年3月期決算説明会資料の「中期経営計画2022追補」の項目で、M&Aなどの事業ポートフォリオ拡充に向けた成長投資を増額する方針を示している。

今回のJTD JAYA PRATAMAへの出資も、国内建設事業を中核としながら、国内建設以外の収益領域を広げる戦略に沿う動きとなる。

ゼネコン大手の「大林組」ジャカルタの高速道路事業に参画 現地運営権会社の48.8%取得で経営関与へ
大林組の主なM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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