中国メディアの環球時報によると、シンガポールメディアのCNAはこのほど、「技術ではなく人材が米中人工知能(AI)競争の構図を変えつつある」とする記事を掲載した。

記事によると、ハードウエアを開発・製造できる場所を求めて2018年に米アップル社を離れて帰国し、23年に中国の深センでスマートグラスの製造・販売を手掛ける逸文科技(Even Realities)を設立した王驍逸(ウィル・ワン)氏は「業界の関心はソフトウエアやデータ、AIへと移行している。

中国は次世代AIハードウエアの構築に必要なエンジニアやサプライチェーン、製造エコシステムを提供してくれる。ハードウエアでイノベーションを起こしたいなら、ハードウエアの中心地に拠点を置く必要がある」と語る。

王氏の決断は、世界のAI開発競争の中心で進行している、より広範な変化を反映している。中国と米国の間では何十年にもわたって人材が自由に往来してきた。しかし今、かつては当たり前だった人材の流動性がますます複雑なものになりつつある。

AIの主導権をめぐり中国と米国が競い合う中、人材は先端半導体や計算能力、データと並び、戦略的資源としてますます重視されるようになっている。専門家によると、この競争はもはや単に「誰が最高のモデルを構築するか」という問題にとどまらない。世界で最も価値ある研究者や起業家、エンジニアが、どこを生活や仕事、そして創造の拠点として選ぶかという問題でもある。

タレント・インテリジェンス・プラットフォーム「DINQ」の共同創業者ケルビン・スン氏は「中国が優秀な人材を引き付けているという事実は、もはや単なる逸話の域を超えている」と語る。中国のAIエコシステムが成熟するにつれ、中国の企業や研究所で上級職に就く研究者や幹部の数が増加している。

米サンフランシスコ・ベイエリアは依然として、高度なモデルの学習に不可欠なトップクラスのAI人材や最先端の研究、計算リソースが最も高密度に集積する地域であり続けている。しかし同時に、中国は今や、10年前には提供できなかったもの、すなわち世界トップクラスの企業やエンジニアおよび野心的な製品を大規模に開発・検証するのに十分な規模の国内市場を備えた、強固かつ成熟した独自のテック・エコシステムを擁している。

米バトラーの最高経営責任者(CEO)、鄧鴻浩(デン・ホンハオ)氏は「中国も米国も人材やリソースを強力に引き付ける磁場のようなものを持っている」と語る。専門家によると、最先端のAIモデルや精鋭の研究チーム、AI分野への巨額の資本を求める人々にとって米国は依然としてより強力な魅力を持つ場所だ。一方、ハードウエアや商用化、AI搭載製品の物理的な展開を重視する人々にとって、中国の魅力がますます増している。(翻訳・編集/柳川)

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