2026年7月22日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは「中国のAI発展が引き起こした衝撃、疑問、不安」と題し、オープンソースと低コストを武器とする中国の人工知能(AI)モデルに対して、仏メディアから警戒の声が出ていることを報じた。

記事は、中国のスタートアップ、月之暗面(ムーンショットAI)が7月16日に公開した大規模言語モデル「Kimi K3」が米AI大手アンソロピックの「Claude Fable 5」にほぼ匹敵する性能を示し、ハイテク株中心のナスダック総合指数が1.4%、S&P500種株価指数が1%下落したと紹介した。

そして、数週間前に別の中国スタートアップ、智譜AI(Zhipu AI)がオープンソースで公開した同種のモデルもシリコンバレーで急速に採用が広がったことにも触れ、専門家からは米中間のAI格差がなおも半年程度あるものの、月之暗面がその差を過去にない水準まで縮めたと評価したことを伝えた。

さらに、Kimi K3の発表から十数時間後の17日、上海で開幕した世界人工知能大会(WAIC)で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が「オープンソースとオープン化、協力と共有を奨励し、グローバルガバナンスの枠組みを早期に形成する」と発言したことに言及。AI分野で世界的な技術標準を打ち立てる中国政府の意図が鮮明になったと評した。

その上で、仏紙ル・モンドが21日に社説の中で、「米国が技術的優位を握り、中国が追走し、欧州は暴走を抑える」という従来の構図を習氏の発言が覆し、世界の技術秩序そのものを塗り替えかねないAI発展方針を示したと評したことを紹介。WAIC会期中に29カ国の代表が上海に本部を置く「世界AI協力機構」の設立文書に署名したことにも触れ、中国政府が自国企業の発展ぶりを、自らの政治構想を売り込む舞台として利用したとも分析したことを伝えている。

同紙の社説は中国のAI戦略について、太陽光パネル、電気自動車、蓄電池と同じように「最先進の技術ではなく最も普及しうる技術を提供する」という戦略構図をたどっているとも指摘し、世界において中国のコストパフォーマンスの優位性が、米中間のわずかな性能差を上回っていると論じたという。

このほか、同紙は「途上国に開放的で安価で入手しやすいAIを約束する裏で中国政府は自らのデジタルガバナンス構想を世界に押し広げようとしている」と警戒感を示し、基本的自由と両立しない検閲制度の上に成り立つ中国政府主導のAIモデルは極めて危険だと結論づけた。(編集・翻訳/川尻)

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