中国メディアの観察者網は23日、高速鉄道の建設プロジェクトをめぐり、「日本がインドに背後から刺された」との記事を掲載した。

記事は、「高市早苗首相とインドのモディ首相が『兄妹の情』を演出した日印関係は、インド初の高速鉄道プロジェクトをめぐって現実の利害が厳しく問われる局面を迎えており、国内外のメディアの注目を集めている」と説明。

ムンバイ―アーメダバード高速鉄道プロジェクトに関わった元法務大臣の牧原秀樹氏が先日、SNSでインド側を厳しく非難したことを紹介した。

牧原氏はX(旧ツイッター)への投稿で、プロジェクトが遅れている原因は「100%インド側のせい」とし、自身の経験から「約束してもすぐにひっくり返す」「自己利益を最後まで主張し続ける」などとインド側を批判。また、7月14日に東洋経済オンラインが掲載した記事のURLを添付した。

同記事では、当初は日本の新幹線車両や信号システムを基盤に整備する計画だったものの、インド側が建設過程で欧州式の信号システムを採用したため、日本製車両の導入が困難になったと指摘。日本の車両は欧州式システムでは運行できず、日本の技術が排除される結果になったとしている。

これに対し、インド外務省のランディール・ジャイスワル報道官は「(牧原氏の発言は)個人的な見解であり、事実と大きく異なる」と否定。信号システムについては「国際基準を満たすこと」を原則に調達したもので、「日本側から具体的な提案は受けていない」と説明したほか、日本側が開発中の新型車両の提供時期が2030年以降になることから、プロジェクト初期段階ではインド製高速列車を使用することで「双方が合意している」と主張した。

ムンバイ-アーメダバード高速鉄道はインド西部を結ぶ全長約500キロの路線で、円借款を活用して建設されている。2017年に着工し、当初は23年の開業を予定していたが、用地取得の難航などにより遅延しており、現在は27年8月の一部開業を目指している。

観察者網の記事は、「今回の対立が表面化したのは、高市首相がインドを訪問し、モディ首相と互いに『兄』『妹』と呼び合ってからわずか2週間後のことだった」とした上で、清華大学国家戦略研究院研究部の銭峰(チエン・フォン)主任の見解を紹介した。

同氏は「問題の核心は技術ではなく、信頼と利益のバランスにある」とし、「両国は複数の協定を締結しているものの、実施段階での遅延により信頼関係が消耗している」と指摘。「日本側は技術移転と融資を約束し、長期的な協力関係の構築と市場参入を視野に入れていたが、インド側は日本の資金と技術を活用し、自国の技術体系と製造業の能力向上を目指している」との見方を示した。

その上で、「象徴的な大型プロジェクトであっても、一度信頼が失われれば条件面で交渉を繰り返す事態に陥る。契約の精神や現地の制度環境、行政の効率などで大きな隔たりがあれば、たとえ最先端の技術や最も有利な融資条件があったとしても、計画通りに実現することは難しい」と論じた。(翻訳・編集/北田)

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