ドイツ紙「フランクフルト・アルゲマイネ」は23日付で、中国の人工知能(AI)が躍進しつつある状況は、しばらく前に発生した電気自動車(EV)などの自動車についての状況と同等と論じ、そのような状況が出現した背景には、世界最大規模の人材群と長期間に及ぶ全体的な計画があると主張する記事を発表した。中国メディアの環球網も同記事を紹介した。
中国のAI業界は最近、重大な進展を立て続けに迎えた。AI関連を手掛けるスタートアップ企業の北京月之暗面科技(ムーンショット)が発表したKimi K3モデルは、米企業のオープンAIやアンソロピックの最高モデルに匹敵する。アリババも通義千問(Qwen、クウェン)シリーズの最新バージョンを発表した。中国の提唱により発足した世界人工知能協力機構(WAICO)には、すでに29カ国が加入した。WAICOは西側が主導するAI協力の仕組みに対する強力な対抗軸と見なされている。上海で開催されたWAICOの設立式典には、国連のグテーレス事務総長までもが出席した。中国はAIの発展を世界の広大な市場との接続とその獲得につなげている。
中国のAIモデルと米国の競合製品との間に大きな差はないが、価格はより低い。さらにモデルはオープンソースであるか、少なくともモデルのパラメーターが公開されている。世界の旅行民泊プラットフォームであるエアビーアンドビー(airbnb)やドイツのテクノロジー大手のシーメンスなどの大企業は、次々と中国のAIモデルに乗り換えている。世界の一部の主要なAI開発プラットフォームでは、中国のモデルの人気が米国の同類製品を超えた。
中国のAI分野の構造変化は極めて速く、その勢いは衰えていない。
中国の政府主導のファンドは産業を支える重しとしての役割を担っている。中央政府系のAIファンドが設立され、北京、上海、深センなどの都市もそれぞれ独自のファンドを設立し、AI産業に投資している。
中国政府は昨年、「『人工知能プラス』の行動の踏み込んだ実施に関する意見」を発表し、中国のAI発展が「技術的な突破」からあらゆる産業や社会の能力を向上させる段階への飛躍を実現したと表明した。ディープシーク、アリババ、ムーンショットが過去1年間に達成した成果や、自動運転分野における中国の主導的地位を総合すると、同時点までに設けられた目標は基本的に達成されたと言える。
しかし中国のAI産業の発展については、EVやその他のいくつかの新興産業の発展と同様に、産業政策が成功の唯一の推進力であるわけではない。
中国では改革開放が本格化した1980年代ごろから、それまでなかった新技術が繰り返し登場した。民衆がそのような新技術に触れた経験は、西側先進国よりずっと多かった。そのために中国の民衆は、例えば自動運転などの新興技術に対する受容度が極めて高い。ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、中国の回答者の86%が「AIは弊害よりも利益が大きい」と考えているのに対し、米国で同じ見解を持つ回答者はわずか41%だった。
次に、中国国内の整備された教育体系がAI分野の躍進を支えている。STEM(科学、技術、工学、数学)専攻の卒業生を大量に輩出し続け、AIの研究開発のために十分な人材を蓄えている。英紙「エコノミスト」の調査によると、2025年12月に世界トップレベルのAI会議の1つであるNeurIPS(神経情報処理システム国際会議)で受理された論文の中で、筆頭執筆者が中国人だった論文の数は、筆頭執筆者が欧米人だった論文の数を超えた。AI研究人材を育成する大学ランキングでは、中国の多くの大学が上位に名を連ねている。
中国のAI企業は今年になり、投資規模を拡大するため、資本市場への接続を加速させた。関連するデータセンター建設などの分野の巨額投資は多くが政府によって主導された。中国西部では、大量のデータセンターの建設が計画されている。それらの施設は近接地にある大規模な風力発電所や太陽光発電所が生み出す電力を利用できる点で有利だ。











