2026年8月25日、中国メディア・観察者網は、中国湖南省で倒れた高齢者を善意で助けた店主らが遺族から賠償を請求された事件をめぐり、中国のネット上で「日本では逆に死亡した側が賠償を求められる」との言説が拡散していると報じた。

記事は、議論の発端となった事案として、湖南省衡陽市祁東県の店舗で体調不良を訴えた高齢者を店が介抱し救急車を手配したものの、搬送先の病院で死亡したことを紹介。

地元当局は店に一切の過失がなく法的責任はないと判断したものの、派出所の調停を経て店側が1万9000元(約45万円)を支払うことになった経緯を伝えた。

そして、中国のSNS上では「中国では死者が出ると店が金を払わされ、日本では逆に死んだ側の遺族が店に損害賠償を払わされる」という対比が盛んに語られていると言及。日本で広く知られる「飛び込み自殺の遺族には鉄道会社から1億円の損害賠償請求が届く」といった都市伝説や、過去の裁判例がそうした言説の根拠として引き合いに出されていると解説した。

その上で、日本の鉄道損害賠償において最も著名な事案として、2007年に愛知県で重度の認知症を患う当時91歳の男性が誤って線路に立ち入り列車にはねられ死亡した事故をめぐる訴訟に言及。JR東海が列車の遅延損害などとして85歳の妻と長男に約720万円の損害賠償を求めて提訴したものの、16年に最高裁判所が妻自身も要介護状態にあり長男も別居していたことから民法に規定される監督義務者には当たらないとして、賠償請求を全面的に退ける判決を下したと紹介している。

また、賃貸住宅内で入居者が病気や老衰などにより孤独死したケースをめぐり、単に室内で死亡したことのみをもって賃借人や遺族が不法行為責任や契約違反の損害賠償責任を負うことはないとした東京地方裁判所の判例(2007年)にも触れ、「日本は死んだ側が必ず賠償させられる」という見方は複雑な法理や判例を極端に単純化した誤解であると総括した。

記事はさらに、日本では重大な過失がない限り善意で救命活動を行った者が結果責任を問われない法的保護が確立されていることを紹介し、中国の民法典第184条でも自発的な緊急救助による受助者の損害免責が明記されていると指摘。「今回の問題の本質は法律規定の有無ではなく、責任のない善意の救助者が調停の場で金銭負担を強いられてしまう行政実務の運用にある」と指摘した。(編集・翻訳/川尻)

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