イヌやネコほどではないけれど、ペットとして人気のあるウサギ。このウサギに明治の時代税金がかけられていたのをご存知だろうか。


税金といえば近代的統一国家形成に不可欠な財政基盤。今でもよく知られている酒税は1875年(明治8年)、たばこ税は1876年(明治9年)に始まっている。そんな明治時代にウサギ税なるものもあった。

実はこのウサギ税、東京府(現在の東京都ですな)の布告した「兎取締ノ儀」に基づいて1873年に作られたウサギの飼育にかけられる税金。その金額は1頭につき、月1円というもの。
当時は、1円で米2斗(約30kg)が買える時代で月1円というのはめちゃくちゃ高い税金。ウサギ税の徴収が何故始まったかというと、ウサギで大もうけといった話が巷に広がり、飼育ブームが起きたためらしい。

代表的な儲かった話といえば、「もらった1つがいウサギに台所のクズ野菜を与えて飼っているうち、10匹ほどの子を産んだ。毛は刈り取って布団の中綿にし、肉はみそ漬けにして食べ、皮は油を抜いて子供のチャンチャンコに」といったもの(!)。

簡単に飼育できて食用にもなる、そして珍しい種類であれば高額で売れる。儲かっている人からは税金をいただきましょう、というのが世の常で税徴収となったらしい。

このウサギブーム、7世紀にヨーロッパで起きた、球根1個が家と同じ値段まで高騰したという‘チューリップバブル’にも通じるところがある。
珍種のウサギが1匹150円、400円と高値で売られたなどバブリーな話もあったらしい。

とはいえ、異常な経済状況が長続きしないのは世の常で、このブームもあっという間に終息、ウサギ税も6年余りで消滅したそうだ。(こや)
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