髪カッチカチ! 「ダイエースプレー」最強伝説
頭髪の半分だけ、スプレーしてみた。右半分、パッキパキです。「エレーヌ ヘアスプレー」はハードとスーパーハードの2種。ダイエー、サカエ、セイフーなどで販売されてます。
ワックス、ジェル、ムースにポマード……。髪をセットする整髪料にも各種あるが、とにかくカチカチに固めたい、そんなときには昔からコレ、という商品がある。


「ダイエースプレー」。正式な商品名は「エレーヌ ヘアスプレー」というのだが、みんなそう呼んでいる。
なぜそう呼ばれるのかというと、「ダイエー系列でしか売ってないから」。

このスプレー、とにかくセット力が強い。ということもあり、髪をスパイキーにするパンクスに珍重されていた。オレも10代のころ初めてブシューッと吹きかけたとき、あまりのパッキパキっぷりに驚いた。

80年代中ごろには、雑誌『宝島』にて、パンクバンド、ラフィンノーズが、連載ページでこのスプレーを「メチャメチャ固まる」と紹介したことで、その存在がさらに広まり、鋲ジャン着たパンクスが、ダイエーの化粧品売り場をウロウロ……なんてこともあった。
大槻ケンヂの自伝的小説『リンダリンダラバーソール』の中にも、見事に髪を固めていたロックバンド、バクチクのメンバーに、そんなに固まるスプレー、どこで売ってんのかたずねたところ、「……ダイエーで……買うんです」と答えたというくだりがあった。1回の整髪に1本使い切る強者もいたりするようで、「バンドブームの頃、ほぼすべてのミュージシャンが髪を逆立てるのにダイエーのヘアスプレーを使っていたのだ」とも書いてある。

そんな「エレーヌ ヘアスプレー」が販売されたのは1978年。以来、現在まで継続販売されているロングセラー商品だ。フロンガス規制の折、「ダイエースプレー、なくなっちゃうんじゃないか?」という噂が流れたこともあり、買い占めていた友人もいたが、成分をLPGに切り替え、どっこい06年の今も、当たり前に買える。

発売元のダイエーに、現在に至るまで、成分など変わったりしてないのか、たずねてみたところ、
「ヘビーユーザーの方が多いため、基本的に大きな変更はしていません」
とのこと。

じゃあ、なんでこんなにダイエースプレーはカチカチになるのか。成分表示を見てみると、「エタノール、LPG、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、香料」と書いてある。
「硬い皮膜を形成する性質を持つ、高分子の超硬質セット成分が、きれいな霧状に噴霧され、毛髪を均一にコートするんです」
この“超”がついてるところがポイントだな。ちなみに「洗髪はていねいにしてください」と但し書きされている。

99年にデザイン変更されたが、セット成分もセット力も変化はないという。
近年ではヴィジュアル系のミュージシャンやファン、コミケなどでのコスプレ用に髪型をキメるための必需品としても愛用されているよう。

とにかく、昔も今も、「髪をキメたかったらダイエーに行け」、ということに変わりはないようで。
(太田サトル)