しらふで酔っ払いの視界を体験「酔っ払いメガネ」
(上)飲酒・酩酊状態の視覚を再現できる「酔っ払いメガネ」。<br>普通の状態(中)からレンズを通して撮影したもの(下)。片目だけで見た場合のスチール画像
全国各地で飲酒運転による事故が後を絶たない。酔っている時は気が大きくなって、きちんと見えていないのに見えていると思ってしまうほど判断能力が低下しているということを忘れてはいけない。
では、酔っ払っている時のモノの見え方はどうなっているのか?

そんな疑問にストレートに答えてくれるが「酔っ払いメガネ」である。

この「酔っ払いメガネ」は酔っ払っている状態をしらふで“酩酊シミュレーション体験”ができるメガネとしてアメリカで開発され、2000年頃から各国で使われるようになったのだという。
「酔っ払いメガネ」を日本で唯一、輸入・販売しているのは先日コネタでもご紹介した「内臓つきクマちゃん」を輸入している医学・理科学教育用機材の輸出入販売を行う日本スリービー・サイエンティフィック株式会社。

そのメガネのしくみについて日本スリービー・サイエンティフィック(株)の吉田さんにお話を伺ってみた。
「簡単に言うと像がゆがんで見えます。ただ、単純な凹面鏡やレンズのような単純で均一的なゆがみではありません。
物が見える位置もズレてきますし、場所によって感じるゆがみ方も異なります。レンズが光をゆがめているのですが、そのゆがめ方、度合い等は企業秘密となっております」

さらにこの「酔っ払いメガネ」では左右の目から異なったゆがんだ像が目に届くことで、ゆがみ効果がいっそう高まるのだという。

「レンズはおそらく左右で大差はありません。でも、人は左右の異なる像を組み合わせて認識しているので、レンズでゆがめられてしまうと、左右のズレをうまく修正できません。そのため、人によってはむかつき、浮遊感を感じることもあります。距離感がつかめないので歩くだけでも怖い、はずした後もむかつきがしばらく消えないといった方もいらっしゃいます」と吉田さん。


ちなみに、このメガネをかけた時に見えるシミュレーション映像があるのか聞いてみたところ、それは残念ながらないとのこと。
「社内で体験している画像を取ると、どうしてもウソっぽい、誇張表現のように見えてしまうんですね。レンズを通した動画を作りたいところですが、左右のレンズを通してとなると難しいので……」と現在公開しているのは片目で見た場合のスチール画像のみ。

「このめがねの使用感については自信を持ってお勧めできます。成人なら酔った状態は知ってはいても、気分も高揚しているので危険性はあまり感じません。是非しらふの正常な判断ができるときに、このメガネで飲酒状態の危険性を体感してもらえれば飲酒運転はできないと思います」と吉田さん。


「酔っ払いメガネ」は現在、飲酒運転の危険性に関する指導のため多くの自動車学校、警察の交通安全課をはじめ学校など教育現場で使用されている。車を運転される方々は是非一度その危険性を体験してみていただきたいものです。もちろん、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」これは絶対です。
(こや)

「酔っ払いメガネ」紹介ページ ※(株)日本スリービー・サイエンティフィック(株)サイト内