会見後に2ショットに応じた井上と中谷(C)CoCoKARAnext

 湧き上がらんとする闘志を抑えるかのように、両雄は努めて冷静に「勝利」を誓った。

 来る5月2日に東京ドームで行われる世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチに向け、30日に王者・井上尚弥(大橋)とWBA、WBC、WBO世界同級1位・中谷潤人(M.T)が揃って記者会見に出席。

決戦に向けた心境を語った。

【動画】繰り出されるボディショット!井上尚弥の“音”に着目

 昨春に日本国内の年間表彰式で、井上が中谷に「1年後の東京ドームで盛り上げよう」と言葉を向けて以来、揃って負け知らずで「最強」の声価を高めながら、ドラマを紡いできた。互いに「どちらかが負ける」というリスクを受け入れ、その恐怖と向き合い、そして最高の状態に仕上げてきた。

 だからこそ、互いに負けられない想いがある。横並びで席に着いた会見では、井上が「やるべきことはやってきているので、今の心境がどうこうっていうのはない」と前置きした上で、「まだまだ井上尚弥だということを証明していきたい」と宣言。一方の中谷も「強さ」を証明したいと語り、「積み上げてきた人生がぶつかる5月2日になると思う。一人のボクサーが積み上げたものをリングで発揮して、どれだけ人の心が動いて感動してくれるかというところをモチベーションで持っている」と思いを語った。

 独特の緊張感を保ちながら、相手に対する煽りや挑発は皆無。ただただ「勝利」を目指すファイターの矜持が会見の言動からヒシヒシと伝わった。

 日本ボクシング界屈指のファイターが、まさにキャリアの最盛期で激突するビッグカードだけに、国外での注目度も高まりを見せている。米格闘技専門メディア『Uncrowned』は、「日本には輝かしい格闘技の歴史があるが、今週末に開催される『The Day』と銘打たれた今興行ほどの規模を誇るボクシングマッチはこれまでなかった」と指摘。「1か月前にチケットは完売した」(大橋秀行会長談)という今興行の価値を伝えている。

 その上で同メディアは井上と中谷の関係性について「このストーリーは、追う側のナカタニが追われる側になることに執着するようになるという、分かりやすく、実にクラシカルなものだ。イノウエは、この10年間で、まさにそのような立場を何度も経験してきた」と論じ、こう続けている。

「ナカタニとの対戦が正式に決定して以来、イノウエは日本語で対戦相手を敬う意味で使用する君付けをやめ、少なくとも公の場で『ナカタニ君』と呼ぶのをやめた。これは、彼がすでに戦闘モードに切り替わり、キャリア史上最大級の勝利を挙げることに全神経を集中させていることを如実に物語っている」

 細かな変化も伝えられているのは、それだけ東京ドーム決戦への注目度が国外で高まっている証と言えよう。

 果たして、運命の大一番はいかなる決着を見るのか。世紀の一戦と呼ぶべき試合に向けた緊張感は否応なしに高まっている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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