中日の象徴ともいえる大野はこれからもチームを牽引してくれるだろう(C)産経新聞社

 “鬼門”で大台達成を迎えた。中日・大野雄大は5月2日の広島戦(マツダ)で先発し、通算100勝を達成。

プロ野球史上143人目、中日の投手としては11人目の快挙だ。なお、マツダスタジアムでは2014年9月11日以来、自身12年ぶりの白星となっている。

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 大台まであと「3」、通算97勝97敗で今季がスタート。なんとしても先に100勝を、と大野は開幕から腕を振ってきた。4月2日の初登板では巨人相手に1失点完投勝利。本拠地・バンテリンドームナゴヤのファンにチーム初勝利を届けた。その後1敗こそ喫するも、25日のヤクルト戦(バンテリンD)で2勝目。次の登板が今回の広島戦で、「リーチ一発」での達成を決めた。

 大野という投手がすごいのは、窮地に追い込まれても何度でも這い上がってくるところ。さらに、それまでと異なる「大野像」を作り上げて結果を出すのだ。

 最初は左肩痛を抱えながらのプロ入りだった。初登板は1年目の10月、チームが優勝に王手をかけた一戦でKOされたのは今も語り草。

速球を軸とする投球スタイルはこの時から出来上がっており、変化球を本格的に覚え始めた3年目からは3年連続2桁勝利を達成。エースへの階段を登っていった。

 ただ、6年目の2016年からは頭打ちが続き、18年にはプロ入り後初めてのシーズン未勝利に終わる。当時の首脳陣とも折り合いが悪く、どうなるかと思われた。

 それでも大野は、2019年に就任した与田剛監督や阿波野秀幸コーチ(当時)らの力を借りつつ、再びローテの柱へ。19~21年の3年間でノーヒットノーラン、45イニング連続無失点、沢村賞受賞、東京五輪金メダル獲得など絶頂期を迎えた。この頃にはチームの顔だけでなく、「88世代」を代表する左腕として存在感を示し、明るいキャラクターもプロ野球ファンに広く知られるようになる。

 35歳シーズンの2023年、開幕直後に左肘の遊離軟骨除去手術を受けた関係で、わずか1試合登板のみに終わった。年齢的にももはやこれまでか、と思われるも、大野は鮮やかな「モデルチェンジ」を果たして、再び最前線に戻ってくる。

 2024年、2年ぶり勝利を含む2勝。翌25年は5年ぶりの2桁勝利(11勝)を挙げて、カムバック賞を受賞。今季も5月上旬に3勝目をマークし、節目の100勝目に達している。

 今はもうかつてのように150キロの速球は投げられない。それでもカットボールやツーシーム、時に100キロ台のスラーブを織り交ぜて、速球を早く見せる「技術」を遺憾なく発揮。2013~15年の3年連続2桁勝利が最初の全盛期、19~21年が2度目の全盛期とするなら、昨季からは3度目の全盛期を迎えていると言っても過言ではない。速球派が技巧派にモデルチェンジするのは難しいとされるが、大野はそのハードルを飛び越え、投球に円熟味が増している。

 100勝目を飾ったあと、ヒーローインタビューで「次の目標は?」と問われると「101勝目を目指す」と答えた大野。節目とはいえ、まだまだ通過点。これからもチームのために腕を振ってくれることだろう。

[文:尾張はじめ]

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