井上との対戦を公言し、実現に向けた動きを見せているロドリゲス(C)Getty Images

 東京で実現した「世紀の一戦」を制した世界スーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)。最強の挑戦者と目された中谷潤人(M.T)と互いに打ち合う緊迫の攻防を展開しながら、頭の片隅に採点の行方を入れるクレバーな戦いで、見事に3-0の判定勝ちを収めた。

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 5万5000人を動員した一大興行を成功させ、莫大な価値を生み出した。群雄割拠のボクシング界でも稀有な力を持つ井上の下には、対戦を熱望する猛者たちが後を絶たない。そうした中で、次なる相手として有力視されている一人が「バム」ことジェシー・ロドリゲス(米国)だ。

 現世界スーパーフライ級3団体統一王者である26歳との「スーパーファイト構想」は、すでに日本を含めた各国メディアでしきりに伝えられている。米老舗誌『The Ring Magazine』の取材に答えたトレーナー兼マネジャーを長年務めるロバート・ガルシア氏は、「ジェシー(ロドリゲスの愛称)にイノウエ以上の相手はいない」と宣言。「ジェシーには世界最高の相手と闘えるだけの技術はある。そして何よりもモンスターと戦いたいと望む気持ちがある」と訴えた。

 無論、井上本人が「それはもうタイミング次第ですね」と認めている通り、今年6月にアントニオ・バルガス(米国)とバンタム級での初陣を行うロドリゲスがどこで階級を上げるかは目途が立っていない。両者がベストコンディションを生み出せる“時”を見測る必要がある。

 ただ、ロドリゲス陣営は、将来的な飛び級も辞さない覚悟で“モンスター”への闘志を燃やしている。

 百戦錬磨のガルシア氏は、米ボクシング専門ポッドキャスト番組「Xicana Boxing」のインタビューで「イノウエとバムが実現するとなれば、それは軽量級史上最大の一戦になる。でも、まずは一歩ずつだ」と吐露。

いわゆる調整試合を取り入れる選択肢を持ちながら、「ただ、バムは無駄な試合はやりたがらない」と続け、陣営が描いている井上戦までの青写真を明らかにしている。

「彼(ロドリゲス)は最強の相手とやることだけを考えている。今はバンタム級でタイトルを手にすることだけを考えている。それでベルトを獲れたらスーパーフライ級に戻してガルシアとモロニーの勝者と4団体統一戦をやろうとしていた。でも、今はちょっと変わってきている。もしも、来年の頭にイノウエ戦をやるなら、(スーパーフライ級に)戻すのは得策じゃない。イノウエとやるなら9月か11月にバンタム級でもう1試合やる方が良い」

 スーパーバンタムへの階級上げを見据えて、「タクマとやるのもいい。それはストーリー的にもおもしろい」と語るガルシア氏。先日の東京ドーム興行で、世界4階級制覇王者の井岡一翔(志成)を破って防衛を果たしたWBC世界バンタム級王者・井上拓真(大橋)との対戦を見据えた。

「私としては、そういう実力派の選手たちとやり合えるかをテストしておきたい。イノウエ(井上尚弥)とやるには、強敵に勝たないと無理だ」

 名実ともに“世界最強”となった男とやる上で、プロセスを踏んでいく算段を立てているロドリゲス陣営。はたして、彼らの思い描く形で対戦は実現するのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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