先日、台所の棚の奥のほうに、ビーフジャーキーを発見した。

自分で買った覚えが無かったので、思いめぐらすと、だいぶ昔に友人からアメリカ土産としてもらったことを思い出した。
もったいないので食べようと思い、賞味期限を見ると、「12.11.10」となっていたので、問題ないかと思い、開封したところ、ものすごくへんな異臭がしたため、諦めた。

賞味期限は過ぎていないのになぜ、と思っていろいろ調べてみたら、アメリカでは、日付を「月、日、年」の順で表現するのだということを初めて知った。つまり筆者が食べたビーフジャーキーは、1年前に賞味期限を過ぎていたのだ。

これだけでなく、ヨーロッパの場合、「日、月、年」の順で表現するのが一般的であり、日本で一般的な「年、月、日」がどこでも通じる訳ではない。世界標準の日付なのに、地域によってその表現方法が異なるのは、全くもってややこしい。何か標準的な表現方法はないのだろうか?

調査したところ、 産業界においては統一規格が存在している。例えば、工業分野の国際的な標準(国際規格)を策定する国際標準化機構(ISO)は、日付と時刻の表記に関する国際規格としてISO8601を定めているが、これにおいては、 「年、月、日」という日本で一般的な形式が標準となっている(ただし年は4桁表示)。また、インターネットで使われる技術の標準化を策定するインターネット技術タスクフォース(IETF)も、RFC3339において、同じく「年、月、日」を標準の形式として採用している(こちらも年は4桁表示)。技術のガラパゴス化が指摘される日本だが、日付の表現方式についてはグローバルスタンダードをとっているのだ。

ちなみに、ISO8601で定められている日付の表記は「年、月、日」以外にもある。ひとつは、「年、年内の日の番号」。これは、月、日をその年で何番目の日かで表すものであり、例えば2012年1月8日であれば「2012-008」、2012年12月30日であれば「2012-365」と表示される(2012年はうるう年なので、12月30日が365日目にあたる)。


もう1つの表記は、「年、週、曜日」である。週は年内で何番目の週かを表し、曜日は月曜日を1、日曜日と7とした7つの数字で表す。先ほどの2012年1月8日は「2012-W01-7」であり、2012年12月30日は、え「2012-W52-7」である。あー計算が大変だった。

ISOで定められているからといって、「御社との次回ミーティングは2012-W23-4でいかがでしょうか?」とか、「次のデートは2012-078にお台場公園ねッ!」とか言っても、理解してもらえない可能性が高いので、ご注意いただきたい。

「年、月、日」が産業界で採用されている理由の一つに、「4桁の西暦+2桁の月+2桁の日」で表される8桁の数字を作ると、数字が大きいほど年代が新しくなり、並べ替えや検索のときに便利である、ということがあると思われる。これが「月、日、年」で並んでいると、例えば2012年10月10日(10102012)よりも2011年11月10日(11102011)の方が大きな数となり、数字の大きさと年代の新しさが必ずしも一致しないため、不便なのである。

実際、アメリカで働いている知人によると、「社内で共有するファイルは、必ずファイル名の先頭に日付をいれているんだけど、『月、日、年』の順番で書くから、フォルダに並んでいるファイルが古い順に並ばなくて不便」という、マニアックな悩みもあったりするらしい。

結論としては、「年、月、日」が最も合理的なのだが、それぞれの地域ではそれぞれの日付表記を前提としたシステムが構築されているし、また日付は手紙の書式など文化的なところにも関係しているから、統一はなかなか難しいというのが実情のようだ。

賞味期限を見るときは、その商品が作られた国と地域を要チェックや!
(エクソシスト太郎)
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