治安がよいといわれる日本だが、小さな子どもを持つ親が不安になるような事件も少なくない。小学生が巻き込まれやすい犯罪として誘拐や連れ去りがあるが、子どもたちが自分の身を守るためにはどうすればよいのか?

新小学1年生を対象にしたユニークな防犯教室が開かれると聞き、取材に行ってきた。


講師として登場したのは、おなじみのマクドナルドキャラクター、“ドナルド・マクドナルド”。まずは、ハイテンションなトークで子どもたちのハートをガッチリつかんだあと、本題へ。危険な目に遭わないための3つの約束を発表した。

1つ目は「ひとりにならない」。2つめは「知らない人にはついていかない」。

……と、ここでドナルドがちょっといじわるな質問。

「知らない人についていかないのは当たり前。じゃあ、知っている人には、ついていってもいいんですか?」
大人でもちょっと考えてしまいそうなこの問題。子どもたちの意見も割れた。正解は“知っている人”の定義次第。ただ、防犯の観点からいえば、知っている人とは両親になにもいわずについていってもよいレベル、つまり祖父母くらい。あとは知らない人として対応すべきとのこと。


3つめは「なんでも話す」。普段からなんでも話すクセをつけておくことが大切だとドナルドも強調。
「学校の帰りに知らないおじさんに声をかけられたこととか、夏なのにコートを着ているヘンなおじさんがいたこととか、ちゃんといえるようになるからね」
おそらく、子どもたちはこの日の教室のことも親に喜んで話しただろう。

最後に子どもたちも参加して、実際のシミュレーションも実施。知らないおじさんが「お母さんが交通事故に遭ったから病院に行こう」と誘うありがちながら、悩んでしまう設定。「行きません!」と大きな声でいうこと、それでもムリヤリ連れ去ろうとする大人には防犯笛で対応することなどをドナルドが伝授した。


教室終了後、子どもたちに感想を聞くと、「楽しかった!」「おもしろかった!」とみんな笑顔で話してくれた。いざというとき対応できそう? という問いにも「できそう!」と元気よく答えてくれ、防犯意識もバッチリ高まった様子。

ところでなぜマクドナルドが防犯教室? と思う人もいるかもしれないが、実は日本マクドナルド株式会社ではCSRの一環として、10年前からこのような活動を実施。全国各地の新入学児童に防犯笛を贈呈しているほか、防犯教室も定期的に開催している。

初めて見る、動くドナルドにも興奮していた子どもたち。楽しいイベントの記憶と共に、防犯ノウハウがきっちり身に付いたに違いない。

(古屋江美子)