筆者は最近、「かな」の書道を習い始めた。
ここでの「かな」とは、短歌や詩を「ひらがな」と「へんたいがな」で書く草書のことだ。


最初は、"変態"がな? と頭の中で変換されてしまったのだが、"変態"ではなく"変体"である。種類が豊富な「変体かな」は、戦前までは日記、書簡など日常の筆記でしばしば使用されていたが、現在の日本では、看板や書道など限定的な場面でしか使われていない。

その「変体がな」とは、漢字の草書体を簡易化してできたもののこと。それをもっと略されたもののいくつかが現在の「ひらがな」である。
そもそも「かな」とは、日本特有の文字で、漢字から変化したものだ。発達の順番からすれば、万葉仮名=変体かな→ひらがな→カタカナとなって現在に到達したという説がある。

「かな」と一口に言っても、優美な姿と、力強い書風など、時代によってもいろいろな表現を持っていた。しかし、かなにおける美の根源は、草書のようなやわらかい曲線を主に構成されている。

では「変体がな」をいくつか紹介しよう。
この三つはよく使われる「変体がな」であるが、何と読むか分かるだろうか?
この文字読めますか? 戦前まで使用されていた「変体かな」
者=は

1.者=は
この文字読めますか? 戦前まで使用されていた「変体かな」
那=な

2.那=な
この文字読めますか? 戦前まで使用されていた「変体かな」
連=れ

3.連=れ

さて、ここでは「は」を「者」で表したが、「は」は他にも「葉」や「盤」、「波」などの「変体がな」で表すことができる。どれを採用すれば良いのか迷うが、筆者の書道の先生いわく、「詩の中で同じ文字、形が重なったり連なったりしないようにするといいわね」とのこと。
この文字読めますか? 戦前まで使用されていた「変体かな」
形は違うが、どれも「は」と読む

「変体がな」を含む「かな」は、すらすら書いているように見えるが、決してそうではなく、楷書をかくような慎重さと、形の整えを目指して書くもの。

指だけではない。手首、ひじ、腕を工夫して動かして文字を書く。

歴史のあって、種類が豊富な「変体かな」、マスターするにはまだまだ修行をしなければ。
(W.Season/ 編集プロダクション studio woofoo
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