
や、やっぱり・・・ま、またもあっさり・・・。
希(土屋太鳳)は、文(田中裕子)に、「誰の心にでも のぞきゃ 人に言われん 黒うて や〜なもんやドロドロ眠っとる。」
「汚え心や や〜やったら 隠せばいいわいね。
誰にも見つからんように上手に隠して生きていきゃあいい。
ほやけど 自分にだけは隠したら駄目や。
誰や知らんでも 本当はここに汚ねえもんやあるちゅう事を
自分だけはちゃんと認めとくま。」
と助言され、大輔(柳楽優弥)とはつきあえないと断ってしまいます。
大輔は「よく言うでしょ 女の子は2番目に好きな人と 一緒になった方がいいって。」と一度だけ粘りますが、それ以上は彼女を責めることなくすがることもなく。これから山梨に(仕事の前乗りで)行くと言い、わざとズボンを脱いで、自分で断っておきながらなおもぐじぐじ言おうとする希を部屋から出て行きやすくします。器でかいな。
脚本は混ぜることなく
ドラマが描きたいのは、希がそもそも、自分から圭太を振って、そのあと彼を好きになって告白したら振られて・・・という経験をしているため、もう一度告白するのが「怖い」と勇気が出せず、でもその勇気を出せるかどうかってところのようです。大輔は、そのために機能するキャラとして存在していたと。情報伝達機能キャラのみのり(門脇麦)みたいなもの。これ、柳楽優弥と門脇麦が巧いから、機能キャラでもかろうじて機能だけにとどまらない魅力を出していて、相当ドラマが救われていると思います。
せめて、希と大輔と圭太のドラマを、輪島塗とフランス菓子のコラボを軸にからめることはできなかったのでしょうか。
浅井(鈴木拓)がケーキ(フィエルテ)をひっくり返して駄目にしたせいで蒔地とのコラボができないピンチに、圭太と大輔とどちらを選ぶか岐路に立たされる話が重なって・・・とか。
ドラマのなかでは「混ぜる」話も出てきましたが、脚本は混ぜることなく、ひたすらミルフィーユのように1枚1枚、2話単位くらいの分量のエピソードを重ね続けています。その重ねが塔のように伸びたときに奇跡が起ることを祈っております。
13週のクライマックスは、高志(渡辺大知)のライブと新曲のラブソングに期待。
今日の、小姑ツッコミ
「まあもがけ。どんにしても 60過ぎたら みいな笑い話や。」(文)
60歳過ぎたらドロドロの色恋から引退っていうことでしょうか。魔性の女にしてはおとなしくない? という気も致しますが、かの瀬戸内寂聴さんは51歳で出家されているから60歳まで現役だったら凄いのかしらん。
(木俣冬)
エキレビ!にて月~土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))