きのこの魅力とは? 「採集民族の血が騒ぐ」
9月24~25日、商業施設「MM テラス」(横浜市西区)にて2日間にわたって開催されたのは、その名も「ヨコハマきのこ大祭2016」なるイベント。

きのこを見て、食べて、愛でることのできる内容になっているとのこと。ここへ、筆者もきのこを求めて遊びに行ってきました!
それにしても、なぜきのこなのか? 「ヨコハマきのこ大祭実行委員会」代表のコバヤシイッセイさんに話を伺いました。
コバヤシさん 私は、もともと横浜の岡村辺りに住んでいました。40年くらい前の岡村辺りには、まだ宅地造成される前の丘がたくさんあったんです。自分が小学生くらいの頃は、丘に入り込んで木の実を採りに行ったり、きのこを採って乾燥標本を作ったりというのが中学~高校生くらいの兄貴分たちの中で流行っていました。彼らの輪に入りたくても入れない自分は憧れを抱き、家庭科の最初の授業で枕にきのこの刺繍を入れたくらいです。きのこを好きになる原体験でした。
――きのこの魅力って、何なのでしょう?
コバヤシさん 多様性だと思うんですよね。ある意味、日陰のものじゃないですか。お花とかと違って花屋で売っているものではないし、食べ物としても好きだけど毒キノコであったり色々なゴチャゴチャの分類があって、自分で採取しに行かなきゃ採れないものでもある。だから、採集民族の血が騒ぐということもあるんじゃないですかね? きのこ狩りに行くテンションって、そういうところがあると思うんです。
きのこが食べれない女性も虜にする「なめじろう」のやる気のなさ
会場内を闊歩していると、たくさんの女性たちに囲まれたしめじを発見!


「なめじろう」なるゆるキャラだそうで、彼に会いにイベント両日ともに足を運んだ女性ファンも少なくないとのこと。「もっときのこを食べようプロジェクト」という団体のPRキャラクターを務めているそうです。
「彼は“なめこ三兄弟”の次男坊なんです。なめたろう、なめじろう、なめさぶろうがいて、なめたろうは都内某所の高級老舗料亭で実家の味噌汁稼業を継ぐために住み込みで修行中。なめさぶろうは自宅を警備しています。なめじろうは、常にやる気がないんですよ。ゆるキャラグランプリに出場しているので、私は『もっと上を目指せ』って言ってるんですけど、『俺のことは気にするな』って控えめなんです。発破をかけてるんですけど、かかったことがないんですよね……」(「もっときのこを食べようプロジェクト」担当者)
ちなみに、「MMテラス」の担当者さんも“なめじろうファン”だそう。
「私、実はきのこを一切食べれなくて……。だから、きのこを好きになりたいと思った時に、なめじろうさんを知って。彼を追ってるうちに、えのきだけは食べれるようになっったんです(笑)。あと、なめじろうさんのTwitterを見ているとすごい面白くて」(「MMテラス」担当者)
はぁ…。 pic.twitter.com/ZR1KJGPHtf
— なめじろう@今年のお仕事24件【公式】 (@namezirou_PEMM) 2016年9月23日
よく見ると、会場内の飲食店メニュー看板にもなめじろうが描かれていました。

きのこを使ったパスタやヌードル、キッシュを食べてみた
このイベントでは、施設内で営業する飲食店でも特別きのこメニューの数々が展開されていました。
●『6種類のきのこ入りアーリオオーリオ』


「レオーネ・マルチアーノ」で提供された、6種類のきのこを使ったスパゲッティー。目の前に出されたら、思いっきりきのこです! きのこの麺への絡まり方がすごいし、食べたら笑っちゃうくらいに美味しい。ワインの香りときのこの掛け合わせは最強だし、食感もベスト。「きのこはこんな食感であってほしい」というきのこ本来の魅力的な固さが維持されてて、しなっとしていない。食べたらたくさんの食感が体験できるのに、具にはきのこしかないというのが不思議。変わり種のきのこも多いです。

●『ガパオヌードル』

「mm THAI(エムエム タイ)」人気の『ガパオライス』をヌードル仕立てに仕上げた一品。こちらも、きのこ6種類を使っているとのこと。
「きのこを入れることによって、スープにきのこの旨みが出ています。6種類のきのこ一つ一つの旨みは違うのですが、一つ一つソテーしてナンプラーで味付けし、それらを一つにまとめました。正直、僕がまかないで食べて美味しかったからメニューにしたんです(笑)」(「mm THAI」皆川忠康店長)

下にライスヌードルが入っていて、混ぜて食べるのが正解。チキンとひき肉ともやしも入っていて、様々な食感が楽しい。6種類のきのこあるので、適当に食べていると毎回違うきのこが口に入るのが面白い。

時間が経つごとに、グングンきのこがスープに染みていくのも嬉しい変化です。
●『ベーコンとキノコのキッシュ』

「ロティスリー・ティーズ・レイ」が提供。ベーコンとキノコ(やまぶしたけ、たもぎたけ、とき色ひらたけ)が入った、きのこの香り豊かなキッシュです。実は、このお店がイベント等でメニューをコラボしてくれるのはかなり珍しいとか。
他にも会場内には、マッシュルーム料理専門レストラン「MUSHROOM TOKYO」(東京都渋谷区)がブースを出展していました。同ブースの一押しは、この「マッシュルームのジェラート」。

ちなみに、マッシュルームの積み木を7個積み上げたらジャンボマッシュルームをプレゼントするというゲームも実施されていました。


「きのこ女子」が作った作品だらけ
ここは、「きのこ縁日」なるゾーン。“きのこガチャガチャ”があったり、一方できのこに輪っかを投げる「きのこ輪投げ」のブースが微笑ましいです。

他にも、たくさんのブースできのこの雑貨がこれでもかと販売されていました。






「4~5年前から『きのこ女子』という言葉がありますが、自分でも何かを作りたくなり、現在では作家として活動している女性がたくさんいらっしゃるんです。その方々が思い思いに作っている作品が結構面白いんですよね」(「ヨコハマきのこ大祭実行委員会」代表・コバヤシさん)
こちらでは、「きのこ女子」が描いたであろう絵画の数々が展示されています。



なるほど、きのこをテーマに作品を生み出すアーティストは数多く存在しているよう。それにしても「きのこ女子」ですか。正直、初耳の言葉でした……。
「きのこの胞子」についてのトークショー
きのこをテーマとしたパフォーマンス「Panic Picnic」なる無言劇も上演されていました。

ピクニックにやってきたファミリーのドタバタパフォーマンス。観覧しているギャラリーの中にきのこが隠されていたり、サプライズも多発です。

また、会場内ではきのこっぽい格好をした方々も見受けられました。こちらは、きのこっぽい格好に身を包んだファミリー。

マリオとルイージに扮した2人組も発見です。きのこだけに。

また、ある場所ではトークショーが開催されていました。テーマは「きのこの胞子について」。

トークしているのは、「ヨコハマきのこ大祭」のテーマ曲「のこのこマーチ」を作詞作曲し、ヴォーカルも務めている「ヨコハマきのこ大祭実行委員会」の楽団長だそうです。それにしても、トークテーマがニッチ!
そんなこんなで、以上が「きのこ大祭」のほぼ全容です。きのこを「これでもか」と満喫することができました。予想以上にアーティスティックでしたね……。
「元々、『きのこ』はテーマとして歴史が深く、音楽の方だったらサティだとか現代音楽で採り上げられることが多いんです。あと、本の挿絵として相当古くから描かれているんですね。アートの中で、きのこはわかりやすく存在しています」(「ヨコハマきのこ大祭実行委員会」代表・コバヤシさん)
率直な感想は、“きのこファン”の潜在的な数への驚きです。こんなにいたのか! きのこの輪……いわゆる“菌輪”がグングン広がっていることを実感しました。
(寺西ジャジューカ)