第1章「蒲田支店編」では、メガバンク・三友銀行の廃店候補となった蒲田支店に、福山演じる片岡洋が支店長として赴任、廃店を撤回させるべく奔走した。結局、廃店撤回のためノルマに課された半年間で融資額プラス100億円には、あと一歩のところで達成できず、蒲田支店は廃店、羽田支店に統合する。それでも片岡をはじめ支店の行員たちはそれまでの努力が認められ、解雇されることなく、全員が三友銀行にとどまる。片岡も本部に戻り、融資部の部付部長となった。
そもそも蒲田支店の廃店を決めたのは本部の人事担当の取締役・横山輝生(三上博史)だった。横山は三友銀行の経営合理化と人員整理を推し進め、何かにつけて片岡の前に立ちふさがる。蒲田支店の行員を整理することはかなわなかったが、それでももくろみどおり同支店を含む12支店の廃店を実現し、専務に昇進した。第2章では舞台を本部に移し、片岡と横山は最終決戦へと突入する。
人情物から企業サスペンスに移行した第2章
当初より登場人物におけるおじさんの割合が高かった「集団左遷!!」だが、それでも蒲田支店では、中村アンや橋本真実演じる女性行員、神木隆之介や井之脇海演じる若手行員が活躍していた。それが舞台が本部に移ると、いよいよおじさんだらけになってしまった。融資部1課主任に脇田(坂本三佳)という女性管理職がいるものの、役員にいたっては見事におじさんばかり。現実の日本企業の反映とはいえ、もう少しジェンダーバランスをとってもいいのでは? という気もする。
第2章ではドラマの趣向もがらりと変わった感がある。
そんな人情ドラマが、第2章に入るや趣向に変化が表れた。一言でいえば、メガバンクの本部に渦巻く陰謀を、片岡が追及するいう企業サスペンスの趣きを呈してきたのだ。陰謀の中心にいるのは横山であり、対する片岡は、蒲田支店から日本橋支店の副支店長となった真山徹(香川照之)と組んで、横山の不正を暴こうとする。バディ物の要素も含まれるというわけだ。
外国人CEO逮捕で横山が動く!
横山に対して片岡たちが疑惑を抱くきっかけは、全国に百貨店を展開するマルハシホールディングスのダニエル・バックCEOが巨額の会社資金を私的流用した疑いで逮捕された事件だった(どこかで聞いたような事件だが)。
マルハシでは数年前、お家騒動によって社長が丸橋雄一郎(本田博太郎)から息子の丸橋太郎(筒井道隆)に交代したものの(これまたどこかで聞いたような話である)、その後、同社はアメリカの大手百貨店ウィルマンズと合併、バックをCEOに迎え、太郎は副社長に降格して彼を支えることになった。だが、マルハシは業績の低迷が続き、そんななかでバックが突如として逮捕される。
逮捕を受けて、横山は、取引銀行の立場からマルハシ再建の緊急プランを提案する。それは、バックの解任とウィルマンズとの合併解消、そして会長に退いていた雄一郎を再び社長に就任させるというものだった。
調べていくうち、告発メールはマルハシの元経理部長の上原(モロ師岡)が送ったものであることが判明。上原は、雄一郎会長名義の貸出記録に不審な点を見つけ、それを会長に伝えたところ、左遷させられたという。このあと、片岡たちは、太郎副社長とともに、証拠となる貸出記録を見つけることに全力を注ぐ。が、巧妙な工作がされており、記録はついに見つからない。そこで片岡は最後の手段に出る。貸出記録が見つかったとカマをかけて、会長をおびき出したのだ。会長はマンションに隠していた本物の貸出記録を持って出てきたところを、片岡と太郎に追い詰められる。
あいかわらず隙が多すぎな片岡の行動
それにしても、片岡の行動はあいかわらず隙が多い。告発メールを受け取った真山をともない、上司である融資担当の隅田常務(別所哲也)に相談しようとしたときも、タイミング悪く横山が通りかかり見つかってしまう。そもそも横山に気づかれてはまずい話を、本部内で相談するのが間違っていたのではないか。
それでも、マルハシへの融資はそもそも10年前に日本橋支店長だった横山が雄一郎会長から取りつけてきたものだと隅田から教えられるなど、横山と会長の癒着はまず間違いないと片岡は確証を得る。だが、役員会の席上、片岡から証拠を突きつけられた横山はしばらく考えた末に、「三友銀行は危うく会長にだまされるところでした」と、あっさり会長を切ってしまう。
思わぬ展開に、拍子抜けする片岡と真山。彼らは、会長が私的流用していたカネはてっきり横山に流れていると思い込んでいたが、まったく関係なかったようだ。ここで真山は、横山が触れられたくなかったのはマルハシではなく日本橋支店ではなかったかとひらめく。真山はさらに、三友銀行の藤田頭取(市村正親)もかつて日本橋支店の支店長を務めていたことがあるらしいと示唆する。一体、横山は日本橋支店にどんな秘密を隠しているのか。今夜放送の第8話では、その日本橋支店に不穏な空気が持ち上がるという。果たして片岡たちは横山の不正を今度こそ暴くことができるのだろうか?
(近藤正高)