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連続テレビ小説「スカーレット」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)
第9週「火まつりの誓い」50回(11月26日・火 放送 演出・佐藤 譲)
突然の社長(阪田マサノブ)の死からしばらくして、照子(大島優子)と喜美子(戸田恵梨香)を訪ねて来た。
かごに入れてもってきた柑橘類の果物(夏みかん?)を競い合うようにして頬張る照子と喜美子。瑞々しさとちょっと切なさのあるすばらしい場面である。
ご愁傷さまとおめでとう
「久しぶりにぺろりや」と笑う照子。父が突然亡くなって食欲もなかったのだ。
久しぶりにたらふく食べたものが酸っぱい果物であったのは、妊娠しているから。それもあって、葬儀を大々的にしなかったのだとか。
「ご愁傷さまとおめでとうが同時到来や」とけろり。
このスピーディーな展開。不思議とありえそうな気もしないでない。
生と死は常に連なっているという人生哲学を柑橘系のさっぱりさで描いてみせた。
社長が死んで、婿が代替わりし、丸熊陶業大改革と話す照子の目の前に、こんもりもられた果物の皮に、照子の生命力の旺盛さが感じられる。
お父さんが死んですぐには照子に会いにいかなかった喜美子。弱っているところを見られるのがいやだろうという配慮だ。少ししてこうして、ポツポツと話すことで、照子の気持ちが落ち着いていく。いい友達同士だ。
喜美子がちや子の前で泣いたように、照子にも泣けと勧める。 気心知れた幼なじみだからこそ、父を亡くし母となる照子の胸中がわかる。絵画、美術学校、絵付け、デザインと喜美子の美への探求はまだ続きそう。
みかんは味わって食え。そして喜美子は1個でも百合子に持って帰ってやれや。