
のん・大九明子監督『私をくいとめて』で日本映画批評家大賞「監督賞」「主演女優賞」W受賞
ロングランを記録した『勝手にふるえてろ』の、原作=綿矢りさ×監督・脚本=大九明子のゴールデンコンビで贈る映画『私をくいとめて』。公開に先立ちワールドプレミア上映が行われた第33回東京国際映画祭では一般観客の投票で最も多くの支持を獲得し、本年度唯一のアワードとなる「観客賞」を受賞し、話題となったが、この度、日本映画批評家大賞にて「監督賞」「主演女優賞」をダブル受賞することが決まった。【関連レビュー】のん主演『私をくいとめて』初めて見せる表情が随所に 俳優のんの最高値・一人上手のみつ子
「監督賞」は、『恋するマドリ』(07)で劇場長編デビューを果たし、『勝手にふるえてろ』(17)、『美人が婚活してみたら』(19)、『甘いお酒でうがい』(20)などで女性の生き方や恋愛にスポットを当てつづけてきた大九明子監督が受賞。
さらに「主演女優賞」を受賞し、主人公・みつ子に扮したのは劇場アニメ『この世界の片隅に』(16)で主人公・すずの声や、YouTube Originalsドキュメンタリー「のんたれ」で『おちをつけなんせ』(19)の脚本・監督・編集・主演他を務めるなど、活動の幅を広げる女優・創作あーちすと のん。「脳内に相談役のAという存在を誕生させてしまった31歳のひとりの女性を、これほど説得力を持って演じ切ったのんの演技力は素晴らしかった」との評価を受けた。
映画『私をくいとめて』は、全国上映中。今後も都内では3月20日(土)より1週間、下高井戸シネマでの上映が決定している。
◎日本映画批評家大賞とは
公式サイト:https://jmcao.org/
今年で第30回を迎える、映画批評家だけの目で選んだ映画賞。アメリカでは映画批評家が選ぶ「ニューヨーク映画批評家大賞」「ロサンゼルス映画批評家賞」 「全米批評家賞」といった権威ある映画賞があるなかで 日本で純粋に映画評論家だけが集まった映画賞としては唯一の賞となる。1991年に水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子等、 当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生した。
毎年1月1日~12月31日までに公開された作品が当該年度の選考対象作品となる。なお、2020年度の授賞式は5月31日(月)を予定している。

受賞コメント
■大九明子監督監督賞。なんと畏れ多い。
しかし撮りたいものが私の脳内にどれほど湧いたとて、それを形にしてくれるスタッフ、俳優がいなければ、1フレームたりとも作ることができません。
私に、映画監督という立場を与えてくれる全スタッフ・俳優、そして何より、私の映画を観てくださる全ての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
<日本映画批評家大賞からのコメント>
とてもポップな感覚、そして誰も想像し得ないような映像の使い方。
大九明子監督はそんな稀有な映像センスを用いて、嫌味になることなく、ただただ新鮮で楽しい映画を生みだしてくれた。これは監督自身による脚本の良さももちろんだが、映画というメディアへの卓越した確かな手腕によるものだろう。
第30回の選考会では、大九監督の卓抜したセンスが多くの選考委員に響いた。誰しもの心にある“ダーク”なところを描きながらも、それを弾けるようなポップさで昇華させる。『私をくいとめて』はまさに“今“を感じさせる、クオリティの高い大九監督の代表作になったといえるだろう。
■のん
この度は、素敵な賞をいただき心から嬉しく思います。演技をすることは私にとって生きる術で、これがなかったら自分は何者にもなれずにモヤモヤとした日々を送っていただろうなと確信しています。
そんな私が役を演じて賞をいただけるのは、こんなに幸福な事はないっていうくらいに嬉しい。明日からも元気に演技に励めそうです。
これからも楽しく、精進して参ります。ありがとうございます。
<日本映画批評家大賞からのコメント>
役者はリアリティがあればそれでいいというわけではない。
リアリティがありつつも、演劇的なところでも芝居を成立させる力を併せ持つ女優、のん。
特に今作は少し現実離れした難しい役柄だった。脳内に相談役のAという存在を誕生させてしまった31歳のひとりの女性を、これほど説得力を持って演じ切ったのんの演技力は素晴らしかった。
彼女は映画を観るわれわれの心を、スクリーンの向こうで悩む主人公みつ子に同化させ、見事に巻き込んでしまった。さらりと観客の応援を味方につけてしまう、のんの魅力と見事な演技に拍手を贈りたい。
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作品情報
『私をくいとめて』全国公開中(4月14日DVD発売)
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督・脚本:大九明子
音楽:高野正樹
劇中歌:大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
企画協力:猿と蛇
公式サイト:http://kuitomete.jp
(C)2020『私をくいとめて』製作委員会