※本稿は、原マサヒコ『トヨタの時短術』(日経ビジネス人文庫)の一部を再編集したものです。
■混雑を避けるだけで人生の質は変わる
会社に所属している人のなかには、朝に「通勤」する人もいると思います。では、みなさんは毎朝、何時に出社していますか? 8時半? 9時ちょっと前? 電車の場合、8時前後には大体「通勤ラッシュ」がありますよね。
周囲から圧迫されて苦悶の表情を浮かべる人や、なかには耐えきれずに途中で電車を降りてしまう人もいます。そして、車両の故障や人身事故が発生して電車が止まってしまうと、もう大変。混雑したホームには入場規制がかけられて、駅周辺は大勢の人でもみくちゃになります。
なぜこんな状態になってしまうかといえば、9時に出社するためにみんなで同じような時間帯の電車に乗るからです。そして、時計の針が12時を指すころには、今度は会社の周辺にある飲食店が混みあい、入店するための行列ができたりもします。
普段はなんてことないお蕎麦屋さんでも、お昼になれば食券を買い求めるサラリーマンでいっぱいになったり、オシャレなイタリアンレストランには財布を小脇に抱えた女性たちが列をなしていたりします。
そして、ようやくお昼にありつけたと思ったら、すぐに午後の仕事がはじまるということで、そそくさとオフィスに戻る姿もよく見かけます。さらに、ネットバンキングやキャッシュレス決済が普及している今でも、給料日のお昼休みにATMの前にできた長蛇の列に並んでいる人を見かけます。
■トヨタの教えで気づく名もなきムダの正体
現金を下ろしたり振り込みをしたりするために、貴重な時間を割いているのです。これらは、昔からよく見る光景だし、「当たり前のことだ」と思っていないでしょうか?トヨタには昔から「自分がやっていることは正しいという気持ちを捨てろ」という教えがあります。
今までやってきたことを疑い、何か別のいい方法はないかと常に考えるということです。
前述の例でいえば、いずれも共通して「ずらす」ことができるはずです。通勤ラッシュが嫌なら、電車が空いている早朝に会社にいけばいいじゃないですか。もし、会社やビル自体が施錠されて開いていないなら、会社近くのカフェにでもいけばいいわけです。
そうすれば、満員電車でムダに体力を消耗せずにすむはずです。お昼休みはピークをずらして遅めにすれば、並ばずにお店に入ってゆっくり過ごすことができるはずです。ここからさらに「今までやってきたことを疑って考える」場合、そもそもお昼ご飯は必ず食べなければいけないものなのでしょうか?
■常識を捨てて仕事のタイパを劇的に上げる
私は会食でもない限りお昼を食べなくなりました。そのほうが午後に眠くなったりせず集中して仕事ができるからです。また、最近はむしろ短い昼寝を推奨して、午後の生産性を上げようという企業もあります。これも「会社で昼寝をしてはならない」という常識を疑っていることになります。
そして、銀行はネットバンキングを使い、現金が必要な場合はコンビニのATMで下ろして財布に充填しておけば、わざわざ混んでいるときに銀行のATMに並ぶなどということをしなくてすみます。仕事上どうしても銀行で処理をしなければいけない人はさておき、「今までいつも給料日にお金を下ろしているから……」と思考停止になって列に並んでいないでしょうか。
ほかにも例を挙げてみましょう。仕事でよくある「アポイント」。
あなたは、待ち合わせ時間の何分前に着くのが正しいと思いますか。3分前までに間に合えば大丈夫でしょうか。10分前には着いておいたほうが安心でしょうか。5分前くらいが一般的ではないかと思いますが、私は遅くとも1時間前にはいくようにしています。その前のスケジュールにもよりますが、可能であれば2時間前や3時間前にいくこともあります。
■早めの移動で手に入れる究極の集中時間
なぜなら、スマホの乗換案内の時刻表を気にしながら時間ギリギリに会社を出るなんて、何もいいことはないからです。ギリギリで行動してしまうと、電車が少しでも遅れたらアウトですし、いちいち肝を冷やします。
タクシーを使ったとしても、渋滞に巻き込まれる恐れがあります。
待ち合わせのギリギリまでの時間を有効に使うのです。「それならオフィスを出る時間まで仕事をするのと同じじゃないか」と思うかもしれませんが、じつは「時間の質」が違います。オフィスで「あと10分で出ないと電車に間に合わない!」なんて思いながら仕事をするよりも、現地にいって「あとは待ち合わせ時間になったら歩いていくだけ」という状態で仕事をするほうが、余計な心配事が少ないため集中力も高まるのです。
また、早く着いて仕事をするだけでなく、近くに書店がある場合には立ち寄って情報収集の時間にすることもできるでしょう。最近では、ミーティングをオンラインで行う機会も増えてきました。
■水曜だけ「ノー残業」という働き方の矛盾
オンラインの場合でも開始時間のギリギリまで別の仕事をしてしまう人がいますが、それではミーティングの質が落ちてしまいます。私は15分前にはセッティングを終わらせ、どのような話をすべきかまとめたり、資料を用意したりと、打ち合わせの準備を行っています。
そうすることでミーティングの質が変わってくるのです。もう一つ例を挙げましょう。以前、トヨタではない会社に勤めていたとき、会社全体の残業時間が多いからと毎週水曜日が「ノー残業デー」になったことがありました。
周囲の人は「そうか、じゃあ水曜は残業を減らさなければ」と、なんの疑いもなく受け止めていましたが、私はその言葉に違和感を覚えていました。「ノー残業」ということは、残業が前提になっていると感じたからです。
「いつもは残業だけど、この日は残業しないようにしようね」というメッセージなわけで、本来は間違っていると思うのです。水曜日以外はいつも残業になってしまうのではなく、毎日ノー残業にすべきではないでしょうか。
■長時間労働という依存症から脱出する
毎週水曜日が「ノー残業デー」ということは、お酒を飲む人における休肝日みたいなものですよね。「お酒は飲んでもいいけど、たまには休もう」という。そうではなくて、タバコをやめたい人が禁煙に挑戦するのと同じように、「禁残業」をしなければいけないのです。
私も昔タバコを吸っていたのでわかりますが、タバコをやめるときにはパッチを貼ったり、電子タバコを使ったり、禁煙に関する本を読んだり……、とさまざまな手段が存在します。それと同じように、残業を減らすためにさまざまな工夫を凝らすのが、ビジネスパーソンのやるべきことではないでしょうか。水曜日だけ早く帰ればそれでいいというものではありません。
本当に仕事を早く終わらせる方法はないのでしょうか。必ずあるはずだと思います。
本当に今までの仕事のやり方が正しいといえるのか? 一度ご自身の仕事のやり方、考え方を見直してみてください。そのやり方、考え方は本当に成果につながる動きでしょうか? 今まで当たり前にやってきたことが必ずしも正しいとは限らないのです。
----------
原 マサヒコ(はら・まさひこ)
プラス・ドライブ代表取締役
1996年、神奈川トヨタ自動車株式会社にメカニックとして入社。5000台もの自動車修理に携わりながら、トヨタの現場独自のカイゼン手法やPDCAサイクルを叩き込まれる。これらを常に意識して研鑽を積み、技術力を競う「技能オリンピック」で最年少優勝に輝く。さらにカイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」でも2年連続全国大会出場を果たすなどトヨタの現場で活躍。その後、IT企業を経て、WEBマーケティングのサービスを提供する、プラス・ドライブ株式会社を立ち上げる。現在も代表として、クライアント先のWEBサイト改善やマーケティング施策の推進業務に従事している。そのかたわら、トヨタ式のカイゼン手法やPDCAなど、トヨタで学んだビジネススキルを社会に還元するために、日々講演活動も行っている。著書に『人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた』(経済界)、『新人OLひなたと学ぶどんな会社でも評価されるトヨタのPDCA』『まんがで身につくPDCA』(ともに、あさ出版)、『どんな仕事でも必ず成果が出せるトヨタの自分で考える力』(ダイヤモンド社)など多数。
----------
(プラス・ドライブ代表取締役 原 マサヒコ)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
