※本稿は、内山真『やってはいけない睡眠の習慣』(SB新書)の一部を再編集したものです。
■寝具の価格と眠りの質は比例しない
昨今は、睡眠が重要だという認識が広まってきたこともあり、寝具について皆関心を持っていると思います。そのこと自体、非常に良いことだと思います。一方、高級寝具についてはどうか。何万円、何十万円もする寝具は値段に比較して眠りを改善する作用があるのでしょうか。
日本のスーパーやチェーン店でお手頃な値段で売られている寝具は、よくできています。これらが価格が一桁違う高級寝具の10分の1ほどの効能しかないわけではない。現実として、この差はわずかなものに過ぎないでしょう。
布団の硬さや重さや肌触りは、人によって好みが分かれます。そもそも、身長、体重、骨格や筋肉のつき方、背骨に問題があるかないか等、人体は多種多様でひとつとして同じものはありません。誰にも合った寝具の条件を挙げるのは難しいと思います。
その人に合った寝具を見つけることが重要です。首の骨に問題を抱えている人は、ある程度の高さの枕が睡眠を改善することがありますが、枕に高さがあると、頭が持ち上がることで顎が引かれて、喉が圧迫されやすくなります。
■寝具選びで最も重視すべきポイント
こうなると、睡眠時無呼吸症候群のリスクが増すのです。睡眠において重点をどこに置くかは自分で決めないといけません。寝具について「オーダーメイドだったらいい」とか「価格が高かったらそれだけ改善される」と考えてしまうと、“寝具沼”にハマってしまいます。
高級な寝具が売れているようです。自分に合った寝具を見つけることが難しいと思うと、「高ければ安心だ」という気持ちになりやすい。価格の高さが心地よさの一つにもなる。誰も買えないような値段ではなく、少し無理すれば買えるくらいの値段だと、こういった気持ちになりやすい。
実際に買うと、今度は「買ったことを後悔したくない」という気持ちが働き、自然とその寝具のいいところを探すようになります。もしお手頃な値段の寝具でしたら、「これは自分に合わないな」という判断が簡単にできます。つまり、値段の高い寝具は「選び取る」ことはできても「捨てる」ことができないのです。
■寝心地より「温度」を意識すべき理由
「暑いと寝苦しい」理由は眠る際に皮膚から熱を逃がすことができないためですが、快適な温度まで下げることでこの仕組みを働かせて、いい睡眠を導くことができます。では「寒くて眠れない」時はどうすべきか。
これは、布団を掛けて寝ていれば、室内温度に触れているのは顔のみということになります。顔が寒ければ人は寝ている最中でも布団を被ったりして、冷えを予防するものです。それより、布団と寝巻きによって決まる寝具内の温度を心地よいものにすることが重要です。寝具内温度を快適にするうえでは、布団の厚さ・枚数に加えて、寝巻きも関係します。
布団を分厚くすることやたくさん掛けることが好きではないという人の場合には、フリースを着て温度調整するのも手です。私は眠っている時によく布団を剝いでしまうので、フリースを寝巻き代わりにしています。
それと、寒い時期に電気毛布を使う方がいらっしゃいます。確かに冬に布団に入る際、布団内が温かくなっているのは気持ちがいいのですが、眠り始めてからは体の内部温度を下げなければなりません。毛布が電気で温められていると放熱を妨げることがあり、眠りへの移行や睡眠を中断することにつながります。
■熟睡したいなら電気毛布は寝る前に消すべき
そこで布団に入る前に、電気毛布のスイッチを押しておき、寝床に入ったらスイッチを消すようにしたらいいと思います。今使っている寝具に工夫を凝らすこともできます。たとえば、お気に入りのタオルを利用することです。
枕に巻いて寝てみると、頭、首、顔の肌触りがよくなり、寝心地を改善することがあります。また、仰向けで寝ている際、腰のところの当たりが悪いのであれば、折り畳んだタオルを膝の下に挟んでみる。こうした工夫ができると思います。
寝具を長く使い続けると、吸湿性の面で問題が出てきます。
■「眠らなきゃ」という執着を捨てる
「眠れないため布団から出て、明るいリビングに行って気持ちを落ち着けようかと思うけれど、このまま朝まで眠れなかったらどうしようと思うと怖い」これは私たちがうまく眠れない時に感じることです。確かにその通りだと思います。頭ではわかっているけど、実行に移せない。ただし、布団の中にいてもんもんとしていること自体が、気持ちを悪いほうに向けてしまいます。
翌日にも「また眠れなかった……」という気持ちが持ち越され、ネガティブなインパクトを与えることが多いのです。一方で、布団の外に出て居間でテレビを観ていたとしましょう。たとえばそこでオリンピックやスポーツの試合を放映していたとします。
初めて観る競技だったのに、思いのほか面白く、朝まで徹夜してしまい勤め先に行くことになった。こんな時、「また眠れなかった……」と嫌な気分になるかというと、そうはならないでしょう。
眠れなかった原因がオリンピックや試合を観ていたためとわかっているからです。
寝ることを忘れるほどの趣味を持つことは、結果的に不眠を解消する手助けをしてくれます。こういったことをもう一度意識してもらうことが、この記事を読んでいただいた不眠に悩む大勢の方に私が伝えたいことです。
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内山 真(うちやま・まこと)
東京足立病院名誉院長
1954年生まれ。80年、東北大学医学部卒業。 東京医科歯科大学神経精神科、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所部長を経て、日本大学医学部精神医学系主任教授(2006~20年)、日本睡眠学会理事長(17~21年)を務める。厚生労働省の睡眠や睡眠障害研究班等の班長を歴任し、検討会座長として「健康づくりのための睡眠指針2014」の作成に尽力した。2020年からこころの医療と高齢者医療を専門とする東京足立病院院長を務め、外来診療も担当。2026年4月より
同病院の名誉院長に。著書に『睡眠のはなし』(中公新書)、『眠りの新常識』(KADOKAWA)、『睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版』(じほう)など。
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(東京足立病院名誉院長 内山 真)

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