インバウンドの増加によって“オーバーツーリズム”が問題となっている。ただ、そういった問題は観光地だけのものではなく、飲食店でのトラブルも増加しているようだ。

“Cash Only”も無視…配信、居座り、要求三昧の客たち

「50ドルでいけるだろ?」迷惑外国人客の暴言に女性店主が激怒...の画像はこちら >>
 渋谷駅からほど近い場所でバーを経営する田中奈津子さん(30代女性)は、うんざりした顔で話をしてくれた。

「バーって基本的に1軒目から行かないじゃないですか。だいたいごはん食べてちょっと飲んで2軒目、3軒目に……って感じだから、ちょっと“出来上がった状態”で来るわけです。それがまた厄介で、酔っ払いは言うこと聞かなくて。テーブルチャージもいちいち説明するのが面倒だし、やっぱお金持ってるからなのかな、態度が大きい人も多いんですよね」

 そんな田中さんに、これまでにあったトラブルについて話を聞いてみた。

「ウチは現金だけなんですけど、『カードで払わせてくれ』ってしつこくて……。断り続けていたら『隣の店で払うから現金をもらえばいいだろ』って言い始めました。入り口とカウンターに『Cash Only』ってちゃんと貼ってるのに、帰るときに言い始めるんですよね。あとはいきなり店の中で配信始めた人。最初はお客さんも少なかったからいいかなって思ってたけど、1時間近くやってて飲み物も追加で注文しないから帰ってもらいました」

「いくら払えば連れ出せる?」女性蔑視発言に怒り爆発

 トラブルにこそ発展しなかったが、外国人客の振る舞いによって不愉快な気持ちにさせられることもあったという。

「英語わかんないだろって感じで、日本人のこととか大声で小馬鹿にして笑ってる欧米人もたまにいますね。一度、私のことを『あの女、いくら払えば連れ出せるかな』と、カウンターでニヤニヤ話してる外国人2人組がいたんです。頭に来たけどニコニコしてお酒出したら、100ドルか? いや、50ドルでもいけるだろって。頭に来たんで『ウチはコールガールやってんじゃないの。
それに私に100ドルってバカにしてんの? 帰って』って英語で言ったら、目を白黒させて出ていきましたね」

英語が“話せないフリ”をしている理由

 実はこの女性経営者、日本の大学を卒業後にアメリカに留学してアメリカの大学も卒業。30代の半ばまでアメリカで暮らしていた経験があるため、実は英語はペラペラ。しかし「お店じゃ“話せない”って感じで振る舞っている」のだとか。

「英語が話せると、英語で対応してくれるお店ってことで外国人の間で話が広まり、外国人のお客さんばかりになると、お店の雰囲気が変わって日本人のお客さんが来なくなってしまいます。知り合いから聞いた話なんですけど、フランス語ができる女性が10年くらい前までバーをやってたみたいで、東京にいるフランス人の間で『フランス語ができるママがいる飲み屋がある』って話が広まり、トラブル抱えたフランス人の駆け込み寺みたいになってしまって……。いろいろとトラブルもあったようで、疲れてしまってお店閉めたとのことでした」

迷惑外国人客の対応策

 そんな彼女が迷惑外国人客への対応策を伝授してくれた。

「注文取るときとか軽い言葉は英語でかわすけど、基本的に英語で話さない。こっちから英語でペラペラ話しかけると調子に乗るんですよ(苦笑)。言葉が通じないとなると、どこの国の人でも行動が慎重になるので、話せないフリをするのが一番いいと思います」

“魔法の一言”で黙らせる「自分の国でも同じことするの?」

 最後に田中さんは、迷惑外国人客を静かにさせる“魔法の言葉”を教えてくれた。

「狼藉を働く外国人には、『Are you going to do the same things in your country?』って言うんです。これは、『あんた、同じこと自分の国でもできるの?』って。この前も『現金がないからオレの腕時計を置いていく。これで何杯か飲ませろ』って言ってきた外国人客がいたから、その言葉を笑顔で言ったら何も飲まずに帰っていきましたよ」

 田中さんによれば、横柄な態度で無理な注文を付けてくる外国人客には、この一言はかなり有効なんだとか。

 外国人観光客を一括りにすることはできないが、店側が安心して営業を続けるためにも、「郷に入っては郷に従え」という最低限のマナーや配慮は、これまで以上に求められているのかもしれない。


文/谷本ススム

【谷本ススム】
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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