巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(51)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が主催する野球教室が2日、石川・七尾市で行われ、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が特別ゲストとしてサプライズ参加した。昨年1月の能登半島地震で被災した約60人の子供たちを相手にイチロー氏が約200球の熱投をすれば、松井氏は2発のサク越えを披露。

野球教室で初共演したレジェンドが、子供たちに夢のような時間をプレゼントした。

 七尾城山野球場の一塁ベンチ脇に、約60人の子供たちの視線が注がれた。野球教室を主催する松井氏の紹介が終わると司会者がサプライズゲストについて説明を始めた。「オリックスでは数々のタイトルを獲得し、マリナーズでは…」。“前フリ”に耐えきれず、グラウンドに飛び出してきたイチロー氏。「僕のこと知ってる? 分かる? できる限りみんなとやりたいです!」と自己紹介すると、ようやく状況を理解した子供たちから歓声が起こった。

 感激した松井氏は声を震わせた。「石川県の能登にイチローさんがいるという非現実的な感じ。自分にとっても夢のような特別な日。イチローさんに感謝です」。日米で小学生らを対象に野球教室を開催し日米通算36度目の今回は、昨年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた能登北部、中部在住の約60人の小4~6年生が参加した。松井氏が被災地で野球教室を開催することを知ったイチロー氏が、自身の参加を打診。

松井氏も快諾し、2人による野球教室が初めて実現した。

 約2時間、熱のこもった指導を展開した。イチロー氏も打撃投手として登板。そろって出場した8月31日の「SATO presents 高校野球女子選抜 VS イチロー選抜KOBE CHIBEN」(バンテリンD)での111球完封から中1日で約200球を投げれば松井氏は恒例のフリー打撃で8スイング中、2本のサク越えを披露。「能登初ホームランです。(3ランを打った)2日前の感触が残っていたので、いつもより早めに出た」と安堵(あんど)した。

 オリックス時代の95年に阪神・淡路大震災を経験したイチロー氏は「能登で大変な被害に遭われた方の気持ちを、痛みとか、苦しみとか、悲しみとかを想像する。昨年(神戸智弁の)試合に来てもらい、話をして飯を食って酒も飲んで、今まで滞っていた感じがサーッと流れて、松井選手と一緒にいるのが気持ちいい時間なんです。これからも試合だけではなく、野球教室だったり、何か一緒にできるんじゃないかな」と夢の続きを予告した。(阿見 俊輔)

 〇…イチロー氏がサプライズ参加した野球教室では、松井氏と並んで小学生の質問コーナーも行われた。「野球選手以外だったら何をやっていたか」という質問にイチロー氏は「もし生まれ変わったらという話をするけど、セミかな」と珍回答。小学生たちは目を丸くしていたが、長く土の中で力をため、世に解き放たれてからは短い期間で暴れ回るとされる性質に憧れを口にした。

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