◆秋季奈良大会▽準々決勝 天理3―1奈良大付(28日・さとやくスタジアム)

 奈良は準々決勝2試合が行われ、天理が奈良大付に3―1と逆転勝ちし、4強入りした。エース右腕・長尾亮大(2年)が5安打1失点完投。

近畿大会出場に王手をかけた。

 エースの粘りが勝利を呼んだ。天理・長尾は2点リードの5回2死一、二塁、相手の1番打者を空振り三振に仕留めてピンチ回避。立ち上がりこそ先制を許したが、2回以降は立ち直って5安打完投した。「完璧ではないけれど、バックに助けられながら粘り強く投げ切った」。9回2死一、三塁の場面で、二盗を刺して試合を終わらせた国広新(あらた)捕手(2年)をマウンドから指さすと、満面の笑み。女房役に駆け寄り「素直に勝ったことがうれしくて」と、はにかんだ。

 奈良大付のプロ注目右腕・新城楓雅(しんじょう・ふうが、2年)に投げ勝っての4強入り。打線も、背番号1の力投に応えて7安打3得点で好投手を攻略した。藤原忠理(ただまさ)監督(60)は「今日の試合は長尾に任せていた。何があっても彼でいくと」と全幅の信頼を置いている。

 長尾は主に捕手と一塁を兼務していたが昨秋、本格的に投手へ転向した。

甲子園を目指して」と練習に励み、最速は144キロに成長。今夏には背番号11で甲子園出場を果たしたが、憧れの聖地で初戦敗退し、悔しさが募った。

 エースナンバーを背負っての来春センバツ出場へ、また一歩前進。「これまでは最後に粘り切れない部分があった。甲子園を終えてから、自分の中にも自覚が芽生えて、1試合(9回を)投げることができた」と、かみしめた。辛抱強く、泥くさく、3季連続の甲子園出場へチームをけん引していく。(藤田 芽生)

 ◆長尾 亮大(ながお・りょうた)2008年8月28日、大阪府生まれ。小学1年時に軟式の島泉ファイブボーイズで野球を始める。峰塚中時代は羽曳野ボーイズ所属。天理では2年春のセンバツからベンチ入り。今秋から背番号1。変化球はカーブ、縦、横のスライダー、チェンジアップ、パーム。

180センチ、87キロ。遠投95メートル。右投右打。

 〇…高校通算17本塁打の橿原学院の4番・川井陵馳(りょうた)右翼手(2年)が先制打含む2安打1打点で貢献した。一発こそなかったが、7回の中飛はフェンスぎりぎり。谷車竜矢監督(37)は「飛ばす能力は天性のもの」とうなった。DeNA・藤田スカウトは「力があって守備範囲も広い。これからが楽しみ」と評価。主砲は「ソフトバンクの山川穂高さんくらい振れる選手に」と、10月4日の準決勝・天理戦でも大暴れを見据える。

 ◆長尾の甲子園VTR 今春センバツは背番号15でベンチ入りも出場機会なく、チームも1回戦で山梨学院大付に1―5で敗退した。今夏は1回戦の鳴門(徳島)戦で1点を追う6回途中から3番手で登板。2回2/3を2安打無失点だったが、4―5で敗れた。

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