◆プロボクシング世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)4団体統一タイトルマッチ(5月2日、東京ドーム)

 日本ボクシング史上最大の決戦、チャンピオンの井上尚弥に中谷潤人が挑戦する世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチまであと2日。ともに32戦無敗というレコードを誇る両選手と、これまで何度もスパーリングを重ねてきたのが、前日本スーパーバンタム級王者の石井渡士也(25)=RE:BOOT=だ。

長きにわたり拳を交えたことで、2人のボクシングを知り尽くした貴重な存在。スタイル、パンチのパワーや質の違いを石井に聞いた。(取材・構成=近藤 英一)

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 石井は無敗の2人と数多くのスパーリングをすることで成長してきた。井上とは2019年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦後からこれまで「100ラウンドは軽く超えています」といい、中谷とは「もっと古くて自分が高校3年からやっています。ラウンド数は数え切れない」というほど、両選手との実戦練習を積み重ねた。

 井上と向かい合えば、ジャブを当てるだけでも苦労する。「なかなか当たらない。感じることはパンチのパワーもそうですが、スピードと(パンチの)的確性。これまで5回ぐらいスパーで倒されています。顔でも腹でもやられています」と苦笑いを浮かべる。中谷には一度も倒されたことはないが、昔から距離が遠くても、近くてもうまいボクシングをしたという。そして「気の強さは突出している」と、リングでは誰よりも負けず嫌いになる。

バンタム級にウェートを上げてからは「スピードにプラスして急にパワーアップした」と証言した。

 ともにパンチは強い。強い中でも、その質は大きく異なる。

 「井上選手はズドーンと、相手を吹っ飛ばすような爆発的なパワーがある。それも左右どちらでも同じ破壊力。中谷選手は左が武器で、点で打ち抜く硬いパンチ。例えるとアイスピックで突き刺すような感じ。どちらが嫌かと言えば、自分は井上選手です。中谷選手は左のパンチが要注意ですが、井上選手は左右全部のパンチが危険なんです」

 ドネアが井上の左フックを受けて足がフラフラになるシーンがあったが、石井も同様の“恐怖体験”がある。「ガードはしていたんですが、左フックをもらった瞬間に右足にビーンと電気が走った。ドネアと同じくフラフラになった」というほど破壊力はすさまじい。さらに井上が昨年9月のアフマダリエフ戦のように、無謀な打ち合いは行わず、出入りを速く、勝ちに徹するボクシングをすれば「相手にとっては一番勝ちづらくなる」と言い切る。

実績などを考慮しスーパーファイトは「井上選手が有利」と口にするが、当日は思い入れの強い両選手を応援する。

 〇…王座返り咲きを狙う石井は、6月7日に大阪で山崎海斗(六島)と東洋太平洋スーパーバンタム級王座決定戦を行う。1月に日本同級王座2度目の防衛戦で池側純(角海老宝石)に敗れ無冠となり「前回は作戦ミスで負けた。調整は順調。次は山崎選手に勝って、池側選手と4回目の対戦をしたい」。池側とはこれまで1勝1敗1分け。東洋太平洋王座を奪っての決着戦へ意欲を示した。

 ◆石井 渡士也(いしい・としや) 2001年1月15日、東京都武蔵村山市生まれ。25歳。中学時代からボクシングを始め、高校は花咲徳栄高に進学し、インターハイで準優勝。2019年4月にプロデビュー。昨年4月に日本スーパーバンタム級王座を獲得(1度防衛)。

プロ戦績は10勝(7KO)2敗2分け。身長164センチの右ボクサーファイター。

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