井上尚弥・中谷潤人へとつながる日本リングのDNAたち25:八重樫東
不屈の世界チャンピオン。その代表格のひとりが八重樫東(大橋)である。
今は大橋ジムのトレーナーとして後進の指導に当たる。現役時代に培った技術はむろんながら、懸命に取り組んだ肉体改造の理論は、今後その分野で第一人者と呼ばれるようになっていくはずだ。<文中敬称略>
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【考えるファイターの誕生】
「だから言ったでしょ。うちはチャンスがあれば、躊躇なく挑戦させるんだって。キャリアが浅いとか関係ない。ボクサーにとって大事なチャンスは2度と来ないかもしれないんだから」
ひところ、大橋秀行・大橋ジム会長を取材するたびに説教された時期がある。「でも、試合経験を積むことも大事......」などと反論などしようものなら、「だから、八重樫を見なさいって。いまや立派な3階級制覇チャンピオンです」
そんなやりとりのきっかけになったのは、八重樫の世界初挑戦前のことだったと思う。プロ5戦目で東洋太平洋ミニマム級タイトルを獲得。
その試合、八重樫はダウンを奪われた末に大差の判定で敗れる。偶然のバッティングによるものとはいえ、アゴを2カ所骨折してしまった。再び戦えるまで10カ月のブランクを要した。さらに再起2戦目にもきわどい判定を失った。キャリアはやはり暗雲で煙ってしまったか----。しかし、このふたつの敗北が、結果的に八重樫の成長力を促していくのだ。
強くなるためには、ただ、練習の濃度を高くすればいいというものではない。『勝つために、今の自分に足らないものは何なのか』と考えてこそ、悔しい敗北からの進化は始まる。
研究は技術、戦術のみにとどまらなかった。ボクサーに有用かどうか微妙とされてきたウェイトトレーニングに積極的に取り組んだ。八重樫をよく知る人物によると、有能なトレーナーたちから多角的に学び、やがて自分の強化の理論にさまざまな考え方を編み込んでいったのだという。いつの間にか、その体は筋肉の塊になった。後ろから見ると、長い物差し竿に服をぶら下げたまま歩く、やじろべえのように見えた。
ここ10年ほどの間に、日本のボクシングは大きく進歩した。多くの有力ボクサーが、ジムでの通常の練習に加え、ウェイト、サーキットトレーニングでボクサーとして無駄なく、効果的な筋肉を養成してきたこともその要因のひとつと考えたい。八重樫こそはその走りではなかったかと思う。
【あくまで挑み続けたチャンピオンの日々】
2011年秋、WBA世界ミニマム級王者ポンサワン・ポープラムック(タイ)に挑む。きわめつきのタフガイで、打たれても打たれても蘇ってくることから「ターミネーター」とあだ名されたこのタイ人と、熾烈な打撃戦を展開。10ラウンド、百発にも及ぶ連打を浴びせてポンサワンをTKOに追い込み、ついに世界王座を手にした。
しかし、八重樫は挑み続けた。翌年6月、WBCチャンピオン、井岡一翔(井岡=当時)との統一戦へと進む。またしても白熱の戦いになった。井岡が鋭く打ち込むジャブ、右ストレートに八重樫の左目上が大きく腫れる。中盤戦あたりには腫れは鶏卵大にもなった。ドクターチェックに対し、八重樫はグラブで目を押し広げて、「ほら、ちゃんと見ています」とアピールし、奮戦とどまることを知らず。僅差判定で敗れるが、ベルトは失っても、その勇気と闘魂は大きく賞賛された。
それから1年、一気に2階級上げて、WBC世界フライ級王座に挑む。対戦するチャンピオンはかつての五輪選手、サウスポーの五十嵐俊幸(帝拳)だったが、得意の右クロスを効果的にヒットして、文句なしの判定でタイトルを奪取する。このタイトルを3度守ると、次なる大勝負に敢然と打って出た。
2014年9月、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と対したのだ。日本のリングにも6度登場し、"ロマゴン"という愛称で呼ばれた挑戦者は、その時点で39戦全勝33KO。すでにミニマム、ライトフライ級で世界一になっていた。しなやかな体から多彩な角度で打ち込んでくるパンチは、いずれもしびれるように強い。カウンターのタイミングもすばらしい。すでに将来の『名誉の殿堂』入りは確実と言われていたスーパーボクサーに、怖れ知らずの八重樫は立ち向かった。
だが、なおゴンサレスの戦力は巨大だった。左フックを巧みにカウンターされて3ラウンドにダウンを喫する。それでも懸命に応戦していくのだが、ニカラグア人のショートパンチを連打されて、だんだんと戦力は搾り取られていった。
【着実に積み重ねているトレーナーとしての実績】
ゴンサレスに敗れてからわずか3カ月後、体重を2kg削りライトフライ級に転じた。WBC王座決定戦に臨み、3階級制覇に挑んだ。しかし、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)の左ボディブローに屈する。キャンバスに這いつくばった八重樫を見て、ボクサーの終焉を感じる人も少なくなかった。
だが、八重樫はあきらめなかった。2015年冬、IBF王者ハビエル・メンドサ(メキシコ)に挑戦、大差判定勝ちし、日本人として3人目の世界3階級制覇を成し遂げた(現在は7人)。このメンドサ戦、中間距離での丁寧なやりとりと、一気の集中打とがうまく織り交ぜられ、32歳にしてのベストファイトと評する人もいる。
3度目の防衛戦で王座を失ったが、それでもあきらめず、2019年、14度目の世界タイトルマッチ、IBFフライ級王座に挑戦。この試合に敗れたのを最後に、ついに現役生活からの卒業を決めた。傷だらけのボクサー生活だったが、最後の血の一滴まで尽くして戦い抜いた姿は、多くの共感を呼んだ。
引退後は、大橋ジムでトレーナーを務める。早くもK-1世界チャンピオンから転向してきた武居由樹をIBF世界バンタム級王者に育て上げた。サウスポーの武居がキック時代から得意にしてきた、相手に飛びついて打ち込む右フックをそのまま活かすなど、個性重視の育成法で実績を積み重ねている。
3年ほど前だったか。トレーナー・八重樫を取材したことがある。彼自身のボクシングキャリアにはほとんど触れなかったが、肉体改造論、選手育成理論など、聞きたいことが次から次に出てきて、八重樫はその一つひとつ、よどみなく、丁寧に、適切な例題を加えながら答えてくれた。気がつけば、取材時間は約3時間。今のところ、武居に関する15分ぶんだけしか原稿にしていない。大変申し訳ないことをしていると思っている。
●Profile
やえがし・あきら/1983年2月25日生まれ、岩手県北上市出身。黒沢尻工業高校でボクシングを始め、インターハイ・モスキート級(45kg以下級)で優勝。拓殖大学時代には国体ライトフライ級で優勝を飾る。2005年、大橋ジムからプロ転向。7戦目の世界初挑戦は敗れたが、2011年にWBAミニマム級、2013年にWBCフライ級、2015年にIBFライトフライ級とタイトルを獲得し、3階級制覇を達成した。強敵との対戦もいっさい厭うことなく、井岡一翔、ローマン・ゴンサレスら歴史的強豪との対決にも果敢に挑んだ。2019年、14度目の世界戦に敗れた試合を最後に引退。現在は大橋ジム・トレーナー。身長162cmのボクサーファイター型。35戦28勝(16KO)7敗。



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