◆JERAセ・リーグ 巨人1―5ヤクルト(4日・東京ドーム)

 入るのか、入らないのか。3回1死一、二塁。

戸郷が投じた真ん中への133キロフォークボールをとらえたヤクルト・鈴木叶捕手(20)は全力で走り出した。「入るかわからなかったですけど、走っていたら入ったので」。視線の先の左翼席に放物線が伸びていった。プロ3年目で飛び出した初本塁打。「本当にうれしかったです」と目尻を下げた。

 強肩強打で将来の正捕手と期待されていたが今季、初めて開幕1軍入りを果たし、この日は「3番・捕手」で先発。ここまで奥川とは3試合でバッテリーを組んだが未勝利。「何とか先に点を取ってあげようという気持ちが強かったです」。守りでも好リードで引っ張った。「まずは守備からだと思っています」。ベンチにはノートを持ち込んで相手打者の特長、試合の内容などを書き込む。ファーム時代からの習慣がしっかりと役立っている。

 誕生日の2006年3月21日は侍ジャパンがWBCで初優勝を決めた日。両親が「夢を叶(かな)えてほしい」と「叶」と命名した。チームは12球団最速で20勝に到達。リーグ優勝、日本一を果たした97年以来29年ぶりの好スタートだ。「まだまだ先は長いですけど、一戦一戦全力で戦っていきます」と鈴木叶。20歳の新星がチームの、ファンの夢を叶える。(秋本 正己)

 ◆鈴木 叶(すずき・きょう)2006年3月21日、静岡・掛川市生まれ。20歳。常葉大菊川では3年春にセンバツ出場。23年ドラフト4位でヤクルトに入団し、24年6月12日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)では球団の高卒新人捕手として70年ぶりとなる先発出場を果たし、勝利打点を記録した。181センチ、81キロ。右投右打。

今季年俸は600万円。

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