◆第87回オークス・G1(5月24日、東京競馬場・芝2400メートル)

 東大文学部出身の“異色”の経歴を持つ小笠倫弘調教師=美浦=。06年の開業から21年目を迎え、オークスへトライアルを制したラフターラインズ(牝3歳、美浦・小笠倫弘厩舎、父アルアイン)を送り出す。

G1・13度目の挑戦。厩舎初のビッグタイトル獲得への期待は大きい。

 大阪出身で親族に競馬関係者はおらず、馬とは縁のない家庭で育った。転機は高校時代。「オグリキャップやタマモクロスなどの時代に、高校の近くに阪神競馬場があって見に行った」。東京大学進学後は、馬術部に所属し、東京競馬場で放馬止めのアルバイトをするなど、馬に触れる機会が増えた。この世界に魅了されて、将来を描くなかで調教師を志した。

 ラフターラインズは4代母がロゼカラーという“バラ一族”。デビュー前から「素晴らしい馬体でいい馬」と期待していた。確信に変わったのが、デビュー3戦目のこうやまき賞。3着に終わったが、初のマイルに出遅れが重なり、猛追を見せた姿に秘める能力の高さを感じ取った。「しまいの脚(32秒9)を見て、想像以上の成長を感じました」と大舞台を意識。

近親には今回と同舞台のジャパンCを制したローズキングダムなども名を連ねる。「母系から距離も問題ないと思います」と、前走からの距離延長も歓迎した。

 フローラSは厩舎にとって11年ぶりの平地重賞制覇。「うまく折り合い流れに乗れて、しまいは素晴らしい脚を使ってくれました」と振り返る。ゲートは課題として残るが、前走は五分に近いスタート。「(レーン)ジョッキーは次はもっとうまく出せますと。スタンド前発走はカギですが、前走くらいの精神状態で臨めれば」と改善に手応えをつかんでいる。

 4月19日にはJRA通算300勝を達成。充実の時を迎えた。「厩舎としてチャンスというより、ラフターラインズの結果につなげてあげたいです」と、自身のG1初制覇よりも、あくまで馬優先を強調した。勝負仕上げに徹した先に、自ずと最高の結果が見えてくる。

 ◆小笠 倫弘(おがさ・みちひろ) 1971年7月19日生まれ、大阪府出身。

東京大学文学部日本史学科を卒業後、牧場研修を経て美浦トレセンへ。山田要一厩舎で調教厩務員、美浦・嶋田潤厩舎で調教助手を務め、05年に調教師試験に合格。06年3月に開業した。10年京成杯オータムHのファイアーフロートで重賞初制覇。JRA重賞6勝(J重賞2勝)を含む通算302勝。オークスは過去2回出走し、20年チェーンオブラブの6着が最高。 

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