◆第87回オークス・G1(5月24日、東京競馬場・芝2400メートル)

 絶対女王へ、最大の難関かもしれない。スターアニス(牝3歳、栗東・高野友和厩舎、父ドレフォン)は阪神JFと桜花賞を勝ち、今年の3歳牝馬で唯一のG1ホース。

それでも、高野調教師はオークスへの参戦を「挑戦」と表現した。

 「距離ですね。1200メートルでデビューした馬が1600メートルまでの経験で、そこから800メートル延びます。世間で血統的にもちょっと短めと言われている中でもつのか。そこに対するチャレンジャーという位置づけです」

 しかし、迷いはなかった。オークスへの参戦は桜花賞直後に発表された。

 「G1を2つ勝つ絶対能力の高さがあって、競馬を上手に走れさえすれば、この2点において、3歳牝馬限定の2400メートルならやれるのではという思いがあります。もしかしたら、距離が全然問題ない馬かもしれない。確信なんか全然ない希望的観測ですけどね。ただ、実際に乗って、競馬の世界を知る唯一の人間である松山騎手が『大丈夫』と言ってくれている。その言葉も入れた3点が(参戦の)理由です」

 手応えを深めたのが桜花賞の走りだ。中団追走から突き抜け、2着に2馬身半差。

圧勝だった。

 「見た通り、めっちゃ強いなと思いました。正直、パフォーマンスは想定を超えていましたね。(これだけG1で安心できたのは)レイパパレ(21年大阪杯)とマイルCSのジャンタルマンタル以来です。直線のなかばで『あっ、これ勝つわ』みたいな感じでした」

 これまでG1・12勝中8勝が牝馬。8勝は現役トップを誇る。牝馬に強いというイメージが強い。

 「関係者の方に『牡馬はもうちょっとやっていいんじゃないの』とたまに言われます(笑)。調教が軽いじゃないかと。それが牝馬にはいいんだろうなと思います」

 確かに厩舎の馬の多くは追い切りで時計を求めない。例えば坂路では54~56秒あたりが多い。

 「正直、昔より追い切りを重要視しないようになりました。

時計を出す以外の調教、普段の運動の方がものすごく大事です。走ることは嫌じゃないんだよという感じで、バランスよく走らせることを心がけています」

 この中間は今まで通り、追い切り以外の火曜日や週末は広いCWコースで体を大きく使わせつつ、坂路も併用。13日の1週前追い切りは坂路でしまい重点に57秒5―11秒9と負荷を強めることもなく、穏やかに整えた。

 「成長は感じます。体の面です。乗り手は『力感もあるのに、軽さが増している。関節がスムーズになっている』と言っています。今回、スターアニスに距離をもたせるために特別なことは一切していません。自分たちの調教が距離をもたせることにつながっているだろうというふうに信じてやっています」

 点ではない、線の調教には強い信念が流れている。牝馬2冠は決して高い壁ではない。

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