古馬牝馬によるマイル女王決定戦、GⅠヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)が5月17日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は3勝、2着2回、3着2回と比較的安定した結果を残している。

一方で、人気薄の激走もしばしば見られ、2024年には14番人気のテンハッピーローズが大金星を挙げて、3連単では90万円超えの高額配当が飛び出した。さらに、2017年には6番人気のアドマイヤリードが勝利し、2着に11番人気のデンコウアンジュ、3着に7番人気のジュールポレールが入って、こちらも3連単の配当は90万円超えとなった。

 いずれにしても、伏兵の台頭は他の年にも頻繁に見られ、ひと筋縄ではいかない一戦であることは間違いない。そして今年も、牝馬の頂上決戦にふさわしいメンバーが顔をそろえ、熾烈な争いが予想される。

 そんななかで中心視されているのは、昨年の「牝馬三冠」レースを彩ったエンブロイダリー(牝4歳)とカムニャック(牝4歳)の2頭だ。前者はGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)とGⅠ秋華賞(京都・芝2000m)の勝ち馬で、後者はGⅠオークス(東京・芝2400m)を制している。

「2頭は、前走のGⅡ阪神牝馬S(4月11日/阪神・芝1600m)でもワンツーフィニッシュ(1着エンブロイダリー、2着カムニャック)を決めており、ちょっと頭ひとつ抜けて強いかな、という気がしています」と、デイリー馬三郎の木村拓人記者も有力2頭には一目置いている。

「エンブロイダリーは、多少気性的に難しいタイプで、それほどキレる脚を持っているわけではありません。東京コースが舞台ですし、スローな展開による"決め手勝負"になると、あまりよくないと見ています。

 ですが、そこは鞍上のクリストフ・ルメール騎手も十分にわかっているでしょう。前走のように先手を奪って(よどみのない流れで)レースを進めていければ、やはり強いと思います。

 カムニャックにしても、レース前のテンションの高さをどう抑えるかがカギになりますけど、それさえクリアできれば、勝ち負けは必至。

マイル戦であっても、東京コースならまったく問題ないと思います」

 とはいえ、人気2頭が気性面で不安を抱えていることは確か。展開によっては、つけ入る隙も大いにありそうだ。そこで、木村記者は一発の可能性を秘める穴馬候補3頭をピックアップした。1頭目は、マピュース(牝4歳)だ。

【競馬予想】「2強」が中心のヴィクトリアマイル 展開次第で一...の画像はこちら >>
「ここ2戦は、ダートのGⅢ根岸S(2月1日/東京・ダート1400m)でコンマ5秒差の5着、GⅢ愛知杯(3月22日/中京・芝1400m)ではコンマ3秒差の6着。それなりの競馬は見せていますが、もうワンパンチ足りないレースが続いています。

 しかし、今の東京の馬場は外差しが決まりやすい状況。そうした多少上がりのかかるマイル戦の舞台は、この馬にはもってこいです。

 また、鞍上が(5月2日から短期免許を取得した)フランシスコ・ゴンサルベス騎手というのが楽しみ。決して乗り馬に恵まれているわけではありませんが、すでに3勝(5月15日時点)。トレセン内の評判はすこぶるよく、関係者の評価も高いです。

 今回騎乗するマピュースは、同騎手の身元引受人である和田勇介調教師の管理馬。

勝負心は一段と増しているのでしょうし、大駆けへの期待は高まるばかりです」

 木村記者が推奨する2頭目は、昨年の春から秋にかけて4連勝を飾ったニシノティアモ(牝5歳)だ。

「2走前には、GⅢ福島記念(福島・芝2000m)で牡馬相手に完勝。力の差が出にくいハンデ重賞にあって、好位につけて勝ちきったのは能力のある証拠だと思います。

 マイル戦は3戦1勝、2着1回、着外1回。着外になったのも3歳の年明けに挑んだGⅢフェアリーS(中山・芝1600m)で、大外枠発走ながらコンマ3秒差の5着と健闘しています。

 同レース以降は1800mと2000m戦を使われてきていますが、マイル戦ではスピードが足りないとか、追走に苦労するといったイメージはありません。4連勝後、前走のGⅢ中山牝馬S(3月7日/中山・芝1800m)は展開が向かず5着に敗れましたが、勝ち馬とはコンマ2秒差。中山より東京のほうが力を発揮できると思うので、巻き返しが見込めます。

 鞍上の津村明秀騎手は一昨年にテンハッピーローズで大穴をあけていますし、管理する上原佑紀調教師は今年の日本ダービーに4頭出しとなりそうな勢いのある厩舎。"2強"に割って入る、あるいは、金星を挙げることがあってもおかしくありません」

 木村記者がオススメする最後の1頭は、エリカエクスプレス(牝4歳)だ。

「器用なタイプではなく、いかに自分のリズムで走れるかがポイントになりますが、地力があるのは確か。前走の中山牝馬Sでもコンマ2秒差の4着と、それなりにうまく運んでいました。

今回はそのとき以上に、折り合いを気にしなくてもいい東京・芝1600m。近走のなかでは、最もこの馬に向いている舞台だと思います。

 前回は控えて2~3番手の好位を追走。今回も控えるのか、それとも(ハナに)行くのかはわかりませんが、自分のリズムで運ぶことができれば、上位争いに加わっても不思議ではありません。

 手綱をとる武豊騎手がハナを主張して主導権を奪えば、そこまで速いペースにはならないでしょうし、スピードの絶対値が高いことはこれまでのレースで証明されています。差し向きの馬場であっても、怖い1頭だと思っています」

 はたして、"2強"がその強さを見せつけるのか。はたまた、意外な存在が波乱を演出するのか。ハイレベルな争いから目が離せない。

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