◆第108回全国高校野球選手権大会最終日 ▽決勝 智弁和歌山4―3健大高崎(22日・甲子園

 智弁和歌山が健大高崎(群馬)を下し、5年ぶり4度目の優勝を飾った。チームを支えた原田夏希コーチ(24)も夢をかなえた一人。

主に内野守備の指導を担い、和歌山大会から計10試合で7失策という強固な守備陣を築き上げた。中京大中京(愛知)では、巨人・中山礼都外野手(24)、中日・高橋宏斗投手(24)と同学年。20年春夏の甲子園が新型コロナウイルスの影響で中止になったことで幼少期からの目標を失ったが、指導者として実現した。

 ナインと同じように日焼けした肌で、原田コーチは目を潤ませた。就任2年目で“夢”を実現。「高校生がその気になれば、どこまでも行けるのではないかと感じさせてもらいました」と、教え子たちに惜しみない拍手を送った。

 甲子園に魅了され、小2でグラブを手に取った。「ずっと甲子園で優勝したいと思って野球をしていた」と、09年夏の頂点に立った中京大中京に憧れて入学。不遇の世代になった。優勝候補だった20年センバツがコロナ禍で中止。19年秋の明治神宮大会を制していたチームは「無力感や虚無感」に耐え、「無敗のまま終わろう」と立ち上がった。同時に自身も心に決めた。

 「指導者として甲子園で優勝。もともと考えていたけど、明確になりました」

 系列の中京大に進むこともできたが「一番レベルが高い野球を」と受験を決意した。東都大学リーグで、体育科の教員免許も取得可能な国学院大へ。将来を意識し、最初から学生コーチとして入部した。監督と100人近い部員の間に入る工夫や上級生への指示など「本当に難しかった」と振り返る。「4年間の経験が生きて、高校生と向き合えています」と全国制覇の一員になった。

 指導の軸を問われ「難しいですね。本当に一人一人、全然違うので」と言葉に詰まる。寮では、住み込みで寝食を共にする。「(悩んでいる選手は)表情を見たら分かる。ふと近くに座っていると、話しかけてきたり。大変だと言われますが、全然そんな感覚はなくて。

選手と日本一を目指す生活の一部。本当に楽しいです」。内野守備の全権を任される立役者は、夏の聖地で最後までノックバットを振った。(安藤 理)

 ◆原田 夏希(はらた・なつき)2002年8月17日、愛知・一宮市生まれ。24歳。貴船小2年から尾張一宮リトルで野球を始め、一宮北部中では愛知木曽川ボーイズでプレー。中京大中京で、20年夏の甲子園での交流試合にベンチ入り。国学院大での4年間は学生コーチを務め、体育科の教員免許を取得。25年から智弁和歌山のコーチ。

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