2026年5月27日から29日まで開催された「人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA」で、スズキが台車型ロボット「MITRA(ミトラ)」を公開しました。
この台車ロボットは、多様なロボットの足回りとして活用されることを目指して開発中の電動ユニットです。
スズキ側が細かい自律走行システムまで構築しない理由については、こうした輸送用機材の分野では受注企業ごとに要望が大きく異なるケースが多く、その都度新たなロボットを開発する手間を避ける狙いがあるようです。スズキはあくまでハードウェアの提供に専念し、細かな仕様は企業側で設定してもらう形を取っています。すでに複数社で、点検用や宅配用ロボットとして試験運用されているとのことです。
実はこのミトラには、スズキが長年研究してきた「セニアカー」の技術が応用されています。セニアカーとは、高齢や足腰への不安などで歩行が困難な方の移動を支援する一人乗りの電動車両です。担当者は「足回りのサスペンションなどにセニアカーの技術が生かされています。ただし、人は乗れませんが」と話します。
駆動方式は後輪駆動で、セニアカーやEVと同様に「後輪二軸独立モーター」を採用。左右の後輪それぞれに専用モーターを配置し、左右のモーター回転速度を変えることで、小回りの利く右左折や旋回を可能にしています。
また、旋回時の重量の移動やタイヤ傾きの調整など、細かな動きを支えているのが、セニアカー技術を応用したサスペンションです。
最大積載時でも8度(約14%)までの傾斜を登坂・降坂できる仕様で、さらにオフロード向けのトラクタータイヤに変更することで、悪路走破性も向上するといいます。「人が乗らない前提なので、より機敏でパワフルな動きができます」と担当者は語ります。
日本国内で流通するセニアカーは歩行者扱いとなるため、速度性能やアグレッシブな走行性能は重視されません。しかし、人が乗る乗り物である以上、一定の悪路走行能力や登坂能力が求められており、その性能が台車ロボットにも生かされている形です。
開発側も、まさかこのような形で技術が活用されるとは想定していなかったようで、担当者は「われわれも、セニアカーだけを開発していた頃は、このような用途で脚光を浴びるとは思っていませんでした」と明かしました。
なお、2026年度中の発売を目指しており、価格は100万~150万円程度に収めたいとしています。

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