安藤勝己選定「3歳牡馬番付」(後編)

アンカツ渾身の「3歳牡馬番付」 皐月賞&ダービーで勝ち負けを...の画像はこちら >>
 激戦必至の3歳牡馬クラシック。はたして、GI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)、GI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)を制するのをどの馬なのか。
そのヒントが隠されている安藤勝己氏選定の「3歳牡馬番付」上位3頭は以下のとおりだ――。

前編◆アンカツが苦悩の末に選定した「3歳牡馬番付」 皐月賞&ダービーは「ハイレベルな大混戦」>>

関脇:ロブチェン(牡3歳)
(父ワールドプレミア/戦績:3戦2勝、3着1回)

 新馬戦(11月9日/京都・芝2000m)を勝ったばかりで挑んだGIホープフルS(12月27日/中山・芝2000m)を、外から鋭く伸びてきて快勝。実績だけなら、この馬を横綱にしてもいいかもしれない。

 ホープフルSについては、メンバーレベルを疑問視する声もあるようだが、前走のGⅢ共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)でもタイム差なしの3着と奮闘。同レースは前哨戦のなかでも評価が高い一戦だったことを鑑みれば、同馬の実力に疑う余地はないと思う。

 実際、共同通信杯はやや余裕残しの状態だった。それでいて、勝ったリアライズシリウス(牡3歳)、2着ベレシート(牡3歳)とは、アタマ差、クビ差。いずれも世代上位の実力馬ゆえ、むしろGI馬の力は示した、と言えるのではないだろうか。

 今や"王道ローテ"のひとつでもある、共同通信杯からクラシックへ向かうローテーションも好感が持てる。デビュー2戦目でGIを制した底力が生きるような競馬になれば、皐月賞でも、ダービーでも勝ち負けが期待できる。が、父が種牡馬としての資質が未知数なワールドプレミアであることが、少しだけ気がかり......。


大関:ゾロアストロ(牡3歳)
(父モーリス/戦績:5戦2勝、2着2回、3着1回)

「オッ」と思わせるようなガツンとした勝ち方がなく、レースぶりもそこまでインパクトがあるわけではない。

おかげで、目立った存在ではなく、一般的な評価もそれほど高くはない。

 それでも、これまでのキャリアを考えれば、決して軽視はできない。ずっと強い相手と戦ってきて、堅実な走りを披露。馬券圏外に外れたことは一度もなく、見た目の印象以上に強い馬だと思う。

 なかでも、前々走のGⅡ東京スポーツ杯2歳S(11月24日/東京・芝1800m)は好内容の競馬だった。最後に大外からいい脚を見せて、勝ったパントルナイーフ(牡3歳)にほんの少しだけ及ばなかった。負けたとはいえ、あの脚には見どころがあった。

 そうしたら、次走のGⅢきさらぎ賞(2月10日/京都・芝1800m)で1番人気に応えて勝利。それも、2着エムズビギンが先にいい脚で抜け出して「もうダメか」と思ったところから、強烈なキレ味で内からかわす味な勝ち方を見せた。

 おそらく、実戦にいって強いタイプなのだろう。どんな展開になっても、最後は確実に伸びてくる。その長所を生かせれば、伏兵以上の存在になる可能性は十分にある。

アンカツ渾身の「3歳牡馬番付」 皐月賞&ダービーで勝ち負けを演じることができる上位3頭
横綱:バステール(牡3歳)
(父キタサンブラック/戦績:3戦2勝、2着1回)

 2戦目の未勝利戦(12月20日/阪神・芝2000m)を勝ったあと、キャリア3戦目でGⅡ弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)を勝った。実績馬も集う一戦にあって、これはなかなかできることではないが、それを実現したことにこの馬の素質の高さを感じた。

 GIを勝つような馬はどこかで光るものを感じさせる、というのが個人的な持論。その意味では、この馬は弥生賞でそれを見せた。最後に追い込んできたあの脚は、荒削りながら迫力満点だった。

 弥生賞を勝ったことでクラシックの出走権を得て、今後のローテーションも無理なく進められる。素質、スケール、将来性と、どれも文句なし。ということで、この馬を横綱に指名した。

 弥生賞のあと、鞍上の川田将雅騎手が「まだまだ」と口にしていたが、それはこの馬に対する期待の裏返しではないか。だいたい「まだまだ」の状態で弥生賞を勝つのだから、馬がしっかりきたらどれだけ強くなるのか、期待は膨らむばかりだ。

 弥生賞と同じ舞台の皐月賞でも有力だが、この先さらによくなることを考えれば、ダービーがより楽しみになる。皐月賞を制することができれば、二冠達成も夢ではない。

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 有力候補は他にもたくさんいる。GI朝日杯フューチュリティS(12月21日/阪神・芝1600m)の覇者カヴァレリッツォ(牡3歳)、GⅢ京成杯(1月18日/中山・芝2000m)を勝ったグリーンエナジー(牡3歳)、重賞で勝ち負けを演じ続けているアドマイヤクワッズ(牡3歳)らがそうだ。

 これらは番付入りした面々とも差はなく、大舞台で逆転があっても何ら不思議ではない。今年の牡馬戦線は、それだけ好メンバーがそろっている。まさしくハイレベルな混戦状態にあって、クラシックでどんな戦いが繰り広げられるのか、非常に楽しみだ。

安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。

騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。

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