3歳世代の頂点を決するGI日本ダービー(東京・芝2400m)は、「牡馬三冠」初戦のGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)組が圧倒的に強いレースだ。

 現に過去10年の結果を振り返れば、前走・皐月賞組が7勝(※2024年、レース直前で回避したダノンデサイルは除く。

以下同)。馬券圏内(3着以内)に入った全30頭のうち、23頭が皐月賞組だ。

 となれば、今年のダービー(5月31日)においても中心視すべきは、前走・皐月賞(4月19日)組だろう。

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 なかでも注目は、勝ったロブチェン(牡3歳)。先手を奪って、そのままライバルたちの追撃を許さずに戴冠を遂げた。そのレースぶりからして、ダービーでも勝ち負け必至と見られている。実際、関西の競馬専門紙記者もこう語る。

「皐月賞当日の中山競馬場は時計が速く、前有利の馬場でした。それゆえ、逃げて勝ったロブチェンについて『トラックバイアスが味方した』といった声が一部であるようですが、直線の上がり勝負で後続の馬が迫ってきた際には逆に突き放しました。着差はわずかでしたけど、完勝と言える内容でした。

 あの勝ち方は、強い馬でなければできない芸当です。当然、ダービーでも最有力候補と言えるでしょう」

 過去2年連続でレースレコードが更新されてきた皐月賞は、今年もその流れに乗って再びレコード記録が刻まれた。

ロブチェンがマークした勝ち時計は1分56秒5。昨年のミュージアムマイルよりコンマ5秒も速く、初めて1分56秒台に突入して中山・芝2000mのコースレコードにもなった。

 まさに古くからある格言どおり、皐月賞は"速い馬"が勝ったのである。

 こうしてスピード能力の高さも存分に示したロブチェンだが、思えば2戦目のGⅠホープフルS(12月27日/中山・芝2000m)では中団の内を追走。直線、わずかな隙を突いて外へ出し、ナタのようなキレ脚で先団馬群を差しきっている。

 要するに、逃げても、追い込んでも勝てる自在性を兼備。GⅠ2勝という実績を含めて、同世代では抜きん出た存在であることは間違いない。専門紙記者が「ダービーでも最有力」と言うのも頷ける。

 とはいえ、ずっと「大混戦」と言われてきた今年の3歳世代。ロブチェンがダービーの最有力候補であることは認めるが、「テッパン」とまで言いきっていいのだろうか。

 重箱の隅をつつくような話かもしれないが、不安材料はいくつかある。

 ひとつは、皐月賞馬のダービーにおける成績だ。

ここ10年、皐月賞馬はすべてダービーにも出走しているが、勝ったのは2020年に三冠馬となったコントレイルだけ。ディーマジェスティ、サートゥルナーリア、エフフォーリア、ソールオリエンス、ジャスティンミラノら1番人気に推された面々も皆、苦杯をなめている。

 ダービーで「皐月賞組が強い」と言っても、それは勝ち馬に限ったことではない。皐月賞組でダービーを勝った馬は、皐月賞で敗れてダービーで巻き返しを図っていることがほとんどだ。

 つまり、データ的には皐月賞の"勝ち馬"であることは、決してプラスにはならない、ということ。どちらかと言えば、マイナス要素ではないだろうか。

 ふたつ目は、ここまで4戦3勝のロブチェンが唯一敗れている舞台がダービーと同じ東京競馬場であること。2走前のGⅢ共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)、ロブチェンは初めて臨んだ左回りのコースで3着に終わっている。前を行った1着リアライズシリウス(牡3歳)をとらえきれず、2着ベレシート(牡3歳)の強襲に屈した。

 そこでは、ホープフルSや皐月賞で見せた強さが見られなかった。その要因が左回りにあったかどうかわからないが、唯一負けているコースで行なわれる大一番へ向けて、不安を感じずにはいられない。

 3つ目は、血統だ。

父ワールドプレミアは、現役時に菊花賞(京都・芝3000m)、天皇賞・春(阪神・芝3200m)と長距離GⅠを2勝しているが、種牡馬としての実績はまだ乏しい。現3歳世代が初年度産駒ではあるが、ロブチェン以外、これといった産駒の活躍が見られていない。

 それで思い出すのは、先週のGⅠオークス(東京・芝2400m)である。2番人気のラフターラインズは「能力は高いものの、GⅠ実績がないアルアイン産駒というのが唯一の気がかり」と囁かれていた。そしてそのとおり、ゴール直前で実績あるオルフェーヴル産駒、キズナ産駒との叩き合いで競り負けた。

 その姿が、今回のロブチェンに若干ダブる。父の実績が地味な分、最後に底力が問われる東京で力負けしてしまうのではないか、と......。

 無論、これらの不安はすべて微々たるものだ。先の専門紙記者はそれぞれの懸念に耳を貸すことなく、「力を出しきれば、ロブチェンが一番強い」ときっぱり。

 それでも、競馬に絶対はない。ロブチェンが取りこぼす可能性はゼロではない。

 ではその際、逆転が期待できるのはどの馬か。

ロブチェンと同じ栗東トレセンで密かに注目を集めているのは、皐月賞4着のアスクエジンバラ(牡3歳)だ。ベテランの岩田康誠騎手がほれ込んだ逸材で、同騎手は落馬して骨折を負いながらも「ダービーでこの馬に乗る」といった気概を見せている。一発ムードも日に日に高まっているという。

 さあ、いよいよ間近に迫ってきた頂上決戦。皐月賞馬がその強さを見せつけるのか。はたまた、伏兵の逆転があるのか。オークス同様、最後まで白熱した戦いが繰り広げられそうな一戦から目が離せない。

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