現有戦力から読み解く「2026ドラフトで獲るべき選手」~中日編

 今年もドラフト会議の季節がやってきた。各球団ともシーズンを振り返りながら、来季に向けた補強ポイントを洗い出し、アマチュア選手の最終的な絞り込みに入っていることだろう。

10月22日に迫る「運命の日」を前に、本当に獲得すべき選手は誰なのか──。6年連続Bクラスに終わった中日の現状と補強ポイントは?

【これまでの不可解な指名の理由】

 今季の中日は60勝81敗2分と現在最下位に沈んでいる。チーム防御率3.28はリーグ4位だった一方、チーム打率.228は同5位。数字だけを見れば野手陣の強化が急務に映るが、投手陣を見ても38歳のベテラン・大野雄大が10勝7敗でチーム最多勝。投打のどちらに重点を置いて補強すべきか、悩ましいところだ。

 昨季と今季の戦績を比べてみると、数字のうえでは「微減」の範囲にとどまっているようにも見える。ただ、昨季は4位(63勝78敗2分)だったのに対し、今季は最下位。わずかな数字の後退が、順位では大きな差となって表れた。

 こういうチームのドラフト展望は難しい。「微減」の要因を細かくほじくるよりも、以前から叫ばれてきたチームの「欠乏感」の正体を見極めたほうが、前向きかもしれない。

 ファンからよく聞こえてくるのが、「ドラゴンズは毎年、不可解なドラフト指名をする」という嘆きである。遊撃手を複数指名したかと思えば、上位を大学、社会人の「即戦力らしき」選手で固める。つまり、行き当たりばったりで、「百年の計」が感じられない──というわけだ。

 そんな嘆きについて、ある関係者が簡潔に理由を明かしてくれたことがある。

「上位指名を監督が決めていたからですよ。来年すぐ勝たなきゃいけないから、どうしても即戦力狙いになりますよね」

 「即戦力」と見込んで獲得した選手が伸び悩むケースが続けば、チームの底上げは進まない。今年からはフロント主導になるとのことで、ドラフト戦略にも新味が出てくることだろう。

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【投手陣の世代交代は待ったなし】

 チーム最多の10勝を挙げた大野雄大は38歳。大野に次ぐ7勝(5敗)をマークした柳裕也も32歳。防御率2.34と安定した投球を見せたものの、9月28日に右ヒジの手術を受けた。来季に向けて、その回復具合は気になるところだ。

 同じく7勝8敗の28歳左腕、カイル・マラーも来季の去就が不透明だ。やはり優先して補強すべきは投手陣ではないか。

 昨年ドラフト1位の中西聖輝は、一軍では2勝8敗ときっかけをつかみきれなかったが、ファームでは12試合に登板して4勝2敗、防御率1.61。来季の台頭に向けた足がかりはつかんだように見える。

 そこに、今年のドラフトの目玉であり、中西の大学の後輩でもある鈴木泰成(東海大菅生→青山学院大/投手/187センチ・92キロ/右投右打)を1位候補として据えるのも手だが、同じ右の本格派という意味ではキャラクターが重なる。

それならば、とほかの「実力者」を探してみた。

 私が「間違いなく栗林良吏(広島)になれる」と踏んでいるのが、角田楓斗(かくた・ふうと/東奥義塾→富士大/投手/178センチ・83キロ/右投左打)だ。雪深い青森県弘前市で生まれ育った、辛抱強く、粘り強い投手。相手になかなか先取点を許さない先発タイプである。

 150キロ前後の快速球にタテのスライダー、スプリット系の速い変化球、さらに落差の大きなカーブを交え、両サイドを使える制球力も備えている。ポーカーフェイスからは、マウンド上で動じない芯の強さがうかがえる。

 20歳前後の快腕、剛腕がもっといてもいい。いや、いなければ将来の展望は開けないだろう。

 地元・東海地区の岐阜には、鈴木悠悟(中京/投手/177センチ・75キロ/右投右打)がいる。強打と野球センスも抜群だけに、遊撃手としての未来もつい夢見てしまうが、投手としても村上頌樹(阪神)クラスの逸材だと踏んでいる。投げる球種のどれもがプロで通用するだけの球質を備え、何よりマウンドでの支配感がただ者ではない。

 前例の少ないミステリアスな大器なら、平田玲翔(大分商/投手/188センチ・80キロ/右投右打)だろう。

このサイズながら俊足を誇り、身体能力も高い。独特のスリークォーターから150キロを超えるボールを投げ込むエンジンの大きさも魅力だ。球界でもなかなか見ないタイプであること自体が、得難い付加価値になる。

 高校生左腕の候補が少ない今年のドラフトでは、U−18日本代表の3人に人気が集まりそうだ。

 上位候補には、末吉良丞(沖縄尚学/投手/176センチ・94キロ/左投左打)と前田侑大(高岡第一/投手/173センチ・70キロ/左投左打)。杉本真滉(智弁学園/投手/177センチ・86キロ/左投左打)は、大舞台で培った経験値と勝負度胸が売りだ。

 今夏の大阪大会で「公立の星」として注目された岡本翔斗(香里丘/投手/182センチ・72キロ/右投左打)は、今年の高校生右腕では最高級の球質の持ち主と言っても過言ではない。この先、プロの食事とトレーニングによって体が5、6キロ大きくなった時、どんなボールを投げるのか。達孝太(日本ハム)のような変貌を期待したくなる素材だ。

【大砲と遊撃手の備えもほしい】

 一方の打線は、チーム打率.228と苦しんだ。ただし、本塁打は121本を記録。DeNA、阪神に次ぐリーグ3位と、長打力そのものが決定的に不足しているわけではない。

 細川成也は25本塁打を放ち、サノーも23本塁打。石川昂弥も7年目の今季、11本塁打をマークした。ただ、日本人の中軸候補を中長期的に考えれば、細川に続く「大砲」を育てておきたいところだ。

 地元筋で探るなら、伊藤颯希(そうき/県岐阜商→上武大/外野手/185センチ・96キロ/右投右打)はどうだろう。今春のリーグ戦では6本塁打、21打点と大暴れした。打った瞬間にそれとわかる打球が多いのが、アーチストとしての資質だ。

 高校生では、佐藤大介(常葉大菊川/外野手/183センチ・80キロ/左投左打)が面白い。現時点ではジャストミート能力に優れた広角打法の打者に見えるが、さらにひと回り筋肉量が増した時、打球に角度がつき、長距離打者へ変身できると見ている。単純なパワーだけではなく、芯でとらえる技術の高さも、プロの長距離打者と共通するからだ。

 遊撃手にも備えがほしい。今季、遊撃手としてリーグワーストの17失策を記録した村松開人の守備面を補う存在として、相羽寛太(静岡→ヤマハ/遊撃手/178センチ・78キロ/右投右打)を推したい。毎年のようにドラフト候補に名前を挙げられながら、社会人で6年間、辛抱強く磨き続けてきた守備ワークは半端ではない。

 守備力の高い遊撃手は、将来を考えればファームにも必要だ。それなら三重に宮本紘成(海星/遊撃手/170センチ・75キロ/右投右打)がいる。さらに広く見渡せば、牧原大成(ソフトバンク)を彷彿とさせる宮崎の「牛若丸」、高田瑛大(都城/遊撃手/175センチ・72キロ/右投左打)も推したい。

 ゴロのほうからグラブにすり寄っていくように見える宮本の守備力。一方の高田は、二塁を守らせても遊撃とは異なる身のこなしを鮮やかにやってのける。

 即戦力だけを追いかけてきた結果が、現在の選手層につながっているのだとすれば、今年こそ「来年」だけではなく、3年後、5年後のドラゴンズを思い描いた指名が必要になる。即戦力の投手を押さえながら、高校生の素材型投手、将来の大砲、守れる遊撃手まで──。チャンスがあるなら、貪欲に獲りにいきたい。

安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

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