2026年6月11日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、AIの普及に伴う大量の雇用流出によるトラブルを避けるため、中国企業がひそかに小規模で段階的な人員削減を進めていると報じた。

記事は、中国政府はAIの普及によって生産効率を向上させたいと考えている一方で、大量の雇用流出が社会動乱を招き社会の安定が脅かされることも懸念していると紹介した。

また、中国の労働法では企業が従業員総数の10%を超える人員削減を行う場合に事前承認が必要と規定されているほか、過去に少なくとも3件の裁判で裁判所がAIによる代替を理由とした解雇を認めない判決を下していることに言及した。

そして、現場の声として中国大手フィンテック企業の上級幹部やアリババ(電子商取引大手)のクラウド事業に携わるエンジニアが「企業は大規模な人員削減を避け、組織再編や自然減による段階的削減を選んでいる」と説明したことを紹介。公然と大規模な人員削減を断行する欧米企業とは対照的な動きになっていると評した。

記事は、中国政府が掲げる「AI+」行動計画では2027年までに主要業界におけるAIの浸透率を70%に高める目標を掲げていると紹介する一方、AIによって生み出される新しい雇用の創出スピードが既存雇用の置き換わるスピードに追いついていないというアナリストの警告を伝えた。

また、シティバンクの報告書では中国の雇用の約9.6%、20代の若者に限ると13.6%がAIに置き換わる高いリスクにさらされているというデータが示されたことに触れた。

その上で、中国の国営メディアは「AIが人々の仕事を奪うことはない」として世論をなだめようとしているものの、中国のSNSである小紅書(RED)上では「AI不安」というトピックが注目を集め議論が沸騰するなど、機械に職を奪われるのではないかという不安が広がっていることを社会背景として紹介した。(編集・翻訳/川尻)

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