2026年8月5日、シンガポールメディア・聯合早報は、中東での戦争によりホルムズ海峡に長期滞留している大量の商船が、世界規模の海洋生態系破壊を引き起こす「スーパースプレッダー」となる恐れがあるとの警告を報じた。

記事は、今年2月に始まったアメリカ・イスラエルとイランによる戦争に伴うホルムズ海峡の封鎖により、1500隻以上の商船が数カ月間にわたりペルシャ湾内で身動きが取れなくなっている現状を紹介。

通常は数日程度の滞在が長期化したことで、船体に藻類やフジツボ、微生物が大量に付着・繁殖する「生物汚損」が発生していると伝えた。

そして、これらの付着生物が航行再開時に生きたまま世界各地の港へ運ばれることで、未曾有の規模で外来種を拡散させるリスクがあると指摘。海洋生物学者のマリオ・タンブリー教授が、現地の生態系を永久に変えてしまう可能性があると警鐘を鳴らしていることに触れた。

また、今回の事案が特に危険な理由として、ペルシャ湾が「高温・高塩分」という極めて過酷な環境であることに言及。ここで生存し続ける生物は非常に高い適応力と回復力を備えており、他の海域に侵入した際、強力な外来種として定着するリスクが極めて高いとする研究結果を紹介した。

想定される被害について記事は、在来種の駆逐や未知の疾病の伝播といった生態系への影響だけでなく、漁業への打撃や発電所の冷却システムの目詰まりなど、経済的損失が年間数十億ドル規模に達する恐れがあると分析した。

その上で、事態の解決に向けて、出航前の船体検査と洗浄の徹底、および到着港での厳重なモニタリング体制の構築が必要だと提言。国連の専門機関である国際海事機関(IMO)が現在、法的拘束力を持った「生物汚損管理規則」の制定に向けた議論を進めていることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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